質問
剛体連結と弾性連結を使用する際の注意点を知りたいです。
回答
剛体連結は、任意節点(従属節点)の自由度を代表節点に依存させます。
1. 施工段階解析で境界条件を構成する節点の非アクティブ
・ 施工段階で弾性連結要素と剛体連結を境界条件に定義する場合によくある間違いです。
・ 弾性連結要素と剛体連結を構成する節点はアクティブさせず、弾性連結要素と剛体連結だけをアクティブさせて、弾性連結要素と剛体連結がアクティブできないエラーです。必ず、構成節点を同時または以前の施工段階でアクティブさせてください。
2. 剛体連結+支持条件
・ 上記の1番目のモデルは “剛体連結” + “弾性連結要素” + “支持条件” で正しく設定された境界条件です。
・ 上記の2番目のモデルは剛体連結の代表節点に支持条件を与えたもので、代表節点に適用された支持条件が従属節点の自由度にまで影響を与えて拘束される不適切な境界条件です。
・上記の3番目のモデルは剛体連結の従属節点に境界条件を与えたもので、従属節点の自由度は代表節点の自由度に従属されるために、従属節点に適用された支持条件が解除される不適切な境界条件です。
3.弾性連結要素+支持条件
・ 上記のモデルは弾性連結要素に境界条件を与えなくてSingularエラーが発生した例です。
・ 弾性連結要素に支持条件を与えないと、弾性連結要素は同じ剛性を持つ梁要素として認識されます。
・ 弾性連結要素の端部に支持条件を与えるか、境界条件を節点バネ支持に変更してください。
4. 弾性連結要素の剛体タイプと剛体連結
・ 弾性連結要素の “剛体タイプ” と “剛体連結” は二つとも剛体挙動を表現するものですが、プログラムでは内部処理が違いますので、注意が必要です。
・ 弾性連結要素の “剛体タイプ” には、モデル全体で一番大きい剛性を持つ要素剛性の100,000倍の剛性が適用されます。したがって、モデルで突出して大きな剛性を持つ要素が存在すると、その剛性の100,000倍の剛性が適用されるために、数値解析上の誤差が生じる可能性があります。
・ 従って、モデルの中に剛体の役割をさせるために大きな剛性を適用した要素が存在する場合は、弾性連結要素の剛体タイプより剛体連結を使用してください。
・ 剛体連結は剛性の大きさに関係なく、代表節点と従属節点の幾何学的な相対挙動を相互に拘束する境界条件なので、他の剛体部材の使用に影響を受けません。
5. 動的解析時の弾性連結要素の剛性
・ 上部構造と下部構造を一緒にモデル化する場合、支承を弾性連結要素でモデル化します。
・ 拘束する方向の弾性連結要素の剛性は一般的に“1×1010~1×1012 (kN/m)” のような大きな値を使用しますが、その剛性はモデルを構成する要素の剛性によって異なりますので、試行錯誤を通じて、固定端の役割をする適切な剛性値を見つけてください。