MIDASプラグインは、CIVIL NXユーザーがAPIやプログラミング言語の知識がなくても、MIDAS APIを活用できるように設計された、すぐに使用可能なAPIアプリケーションです。
MIDASプラグインとは?
多くのCIVIL NXユーザーは、モデリング中にCADやExcelを繰り返し使用して計算を行う必要があります。プラグインは、これらの繰り返しの計算やデータ転送作業を削減します。
MIDAS APIはWebベースのAPIであり、拡張性に優れています。特に、JSON(データ形式)はWeb対応の言語で使用でき、Pythonには幾何学的な計算などに利用できる多くの関数があります。つまり、MIDAS APIと関数を組み合わせることで、強力なAPI機能であるMIDASプラグインが実現します。
最も基本的な例として、ユーザーが「節点作成API」を使用して20個の節点を作成したい場合、以下のような方法も考えられます:
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各座標をハードコーディングで入力する
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Pythonのforループ構造を使用する
多くのエンジニアは、大学の構造工学の授業でVBAやMATLABを使用してforループ関数を利用した経験があるでしょう。
MIDASプラグインの利点
プラグイン開発の主な目的は、ユーザーの利便性を提供することです。MIDASは、すべてのユーザーがAPIの概念やプログラミング言語の背景を持っているわけではないことを認識しています。そのため、プラグインはAPIのバリアフリーな体験を提供するように設計されています。コーディング経験のある方には、ユーザー主導の開発のための高度な環境も提供しています。
初期のMIDASプラグインの展開では、ユーザーの要望に基づいた12のプラグインをリリースしました。以下に、その3つの主な利点を説明します。
a) モデルの作成と編集の高速化
プラグインを使用することで、モデルの作成と編集がこれまで以上に迅速になります。これにより、繰り返しの作業を最小限に抑え、効率的なモデリングが可能になります。
b) リアルタイムの更新
Webベースのプラグイン環境では、CIVIL NXの更新が即座に行われます。製品リリースを待つ必要はなく、簡単なリフレッシュで最新のプラグインが利用可能になります。この革新的なアプローチにより、新しい基準に対応したプラグインを独自に開発・統合することができます。
例えば、ニュージーランドの新しい地震荷重基準に対応する「Design Response Spectrum Generator」プラグインは、製品に正式に統合される前に、新しい基準を設計に取り入れることを可能にします。
c) ワークフローのカスタマイズ
APIを使用する際、多くの人が繰り返しの作業を最小限に抑えたり、モデルを自動的に最適化したりしたいと考えます。本質的にはワークフローの自動化を求めているのです。ここで活躍するのがプラグインです。プラグインを使えば、ニーズに合わせて自分のワークフローを自在にカスタマイズできます。
ワークフローのカスタマイズというと難しく聞こえるかもしれませんが、実際にはそれほど複雑ではありません。プラグインは、ユーザー固有の要求とソフトウェアの機能のギャップを埋める強力なツールです。業務の自動化、作業の効率化、基本機能にはない新たな機能の追加を可能にしてくれます。
例えば、「Alignment Creator」プラグインは、節点、要素、節点座標系を自動的に生成することで、モデルの作成を大幅に効率化します。「Concrete Material Set」プラグインは、時間依存特性を持つ材料の作成を簡素化します。さらに、MIDASプラグインは、橋脚、橋台、杭、杭台といった構造部材の作成にも対応しています。
また、プラグインはモデリング機能を拡張するだけでなく、複雑なデータ処理も容易にします。たとえば、「温度勾配による残留応力の算出」や、「テンドン座標の相対座標から絶対座標への変換」といった作業も、プラグインならスムーズに処理できます。これにより、従来は手作業で行っていた煩雑な工程が大幅に削減されます。
PC桁橋のモデリングに使用されたプラグイン
まとめ
CIVIL NXにおけるワークフローにプラグインを活用することは、単なる利便性を超えたものであり、エンジニアや設計者の進化するニーズに対応する革新的なツールです。この技術を取り入れることで、ユーザーは業務の効率と生産性を向上させるだけでなく、活発で協調的な専門家コミュニティへの貢献も可能になります。