機能
梁要素の曲げに対する非線形特性(モーメント-曲率関係)を計算するための設定をします。
本ダイアログは以下の3つのタブ構成されています。
1.グローバル:M-φ計算のための基本設定
2.非線形特性:部材材料の応力-ひずみ関係やヒンジ成分を設定
3.断面:部材の断面情報、RC部材の配筋や鋼部材の補剛材などを設定
経路
メインメニュー:[材料/断面] タブ > [非線形特性] グループ > [M-φ計算] > [M-φパラメータ]
入力
M-φパラメータ ダイアログボックス
グローバル
軸力荷重
初期断面力を考慮してM-φ関係(モーメント-曲率関係)を計算します。
初期断面力テーブル
死荷重の静的解析を行って得られた断面力を初期断面力テーブルに貼り付けて初期断面力を考慮します。初期断面力テーブルに値が入っていないと、初期断面力が自動的に考慮されません。
初期断面力は”[荷重] タブ > [荷重タイプ:その他] > [初期断面力] グループ > [微小変形] > [初期断面力]”で設定できます。
荷重ケース
初期断面力を計算する静的荷重ケースを指定します。
本オプションで初期断面力を考慮する際は、M-φ計算の前に先に静的解析を実行する必要があります。
PC鋼材の1次力で骨格曲線をシフト
PC断面のM-φを計算する際に、PC鋼材の1次力(曲率も含む)で骨格曲線をシフトするか、しないかを選択する際に使用します。本オプションを利用すれば、PC鋼材の剛性は考慮しても1次力は考慮しないことができます。但し、チェックオフの場合は、初期断面力計算用の荷重ケースに“PC鋼材のプレストレス荷重” データを含めて、PCの緊張力を考慮してください。
降伏点タイプ(RC断面のみ)
降伏モーメントを初期降伏点にするか降伏点にするかを指定します。正し、材料のσ-ε関係が「道路橋示方書V(平成24年)」の場合には本オプションは適用されません。
初期降伏点(補正無)
下図の青実線のように初期降伏点を降伏点にします。
降伏点(補正有)
下図の赤点線のように補正した点を降伏点にします。
繰り返しパラメータ
降伏モーメントを初期降伏点にするか降伏点にするかを指定します。正し、材料のσ-ε関係が「道路橋示方書V(平成24年)」の場合には本オプションは適用されません。
断面分割数
曲げモーメントと曲率を算出する際に各要素の断面を慣性力の作用方向にn分割するが、その際の断面分割数を指定します。
最大繰り返し回数
中立軸を仮定して計算された断面内の応力-ひずみ関係から計算した軸力と発生軸力が許容誤差範囲に近づくまで計算する繰り返し回数を指定します。
許容誤差
中立軸を仮定して計算された断面内の応力-ひずみ関係から計算した軸力と発生軸力が同じだと判定する許容誤差を指定します。
部材のM-φ計算方法
非線形特性
材料単位であるため、先に材料リストで対象の材料を選択します。
材料のσ-ε関係
部材材料の応力-ひずみ関係を指定します。規準ごとに提示する材料の応力-ひずみ関係が異なり、適用する規準を選択します。
コンクリート材料のσ-ε関係から求まる断面内の応力分布
非線形特性
曲げに対する非線形特性(モーメント-曲率関係)の成分を設定します。
成分
PMM
軸力の変動や2軸相関の非線形特性を計算する際に使用します。
My, Mz
断面のy軸とz軸まわりの曲げの非線形特性を計算する際に使用します。y軸とz軸の相関は考慮されません。
断面数
非線形ヒンジの積分点の数で、1 個から最大20 個まで設定できます。積分点の位置は下図に示すように積分点の数によって決まり、端部になるほど積分点の間隔も狭くなります。
履歴ループタイプ
部材の 1 軸方向の荷重に対する力と変位関係をスケルトンカーブと呼び、履歴モデルはこのスケルトンカーブに基づき、正(+)、負(-)の繰り返し荷重が作用する時、除荷と再載荷の場合の力と変形関係の規則を決めるものです。
オリジナル武田型モデル/トリリニア
コンクリート部材でバイリニア型を選択すると、耐震性能の限界状態に達する点を連結する完全弾塑性型になります。
トリリニア型やテトラリニア型の場合、Mc≦My≦Mls が成立しないと、次のように負(-)勾配を補正します。
ヒンジの特性値パラメータ
RC/PC部材で有効です。したがって、本オプションはRC/PCタブでのみ有効になります。
限界状態
部材の限界状態として耐震性能2と耐震性能3が選択できます。A種橋梁の場合には耐震性能3をB種橋梁の場合には耐震性能2を選択します。
剛性低下時の剛性
コンクリート部材の耐力が最大圧縮応力を超え下降勾配で低下する際、圧縮応力が0.2σccを超える付近で剛性を0にするか、下降勾配をそのまま維持させるかが指定できます。
コンクリートのσ-ε関係で、道示V(平成14年、平成24年)を選択した場合に有効です。
ひび割れモーメントのσbt計算
ひび割れモーメント計算時、コンクリートの引張を考慮するかどうかを決定するオプションです。
設計/M-φ計算用材料の変更
RC/PC
RCやPC部材のM-φを計算する際に使用する材料を指定します。
コンクリートの選択
コンクリートの材料を指定します。規格から指定するか、規格を”None”にして、圧縮強度を直接指定します。
鉄筋の選択
鉄筋の材料を指定します。規格から指定するか、規格を”None”にして、主筋とせん断鉄筋の降伏応力度を直接指定します。
:材料の指定後に修正ボタンを押して変更内容を適用します。
:閉じるボタンを押してダイアログを閉じます。
「設計/M-φ計算用材料の変更」ボタンを押すと、”非線形特性”や”ヒンジの特性値パラメータ”が初期化されるので、先にM-φ計算用材料の設定を行います。
鉄骨
鋼製の柱部材のM-φを計算する際に使用する材料を指定します。
鉄骨材料の選択
鋼材の材料を指定します。規格から指定するか、規格を”None”にして、引張強度や降伏応力度などを直接指定します。
板厚により耐力が変化しない鋼材(-H 仕様)を仕様
本オプションは板厚により降伏点や耐力が変化しない鋼材を使用する場合に使用します。
SRC
鋼断面にコンクリートを充填した柱部材のM-φを計算する際に使用する材料を指定します。
SRC材料の選択
鉄骨材料の選択
鋼材の材料を指定します。規格から指定するか、規格を”None”にして、引張強度や降伏応力度などを直接指定します。
コンクリートの選択
コンクリートの材料を指定します。規格から指定するか、規格を”None”にして、圧縮強度を直接指定します。
鋼断面にコンクリートを充填した柱部材を対象にするため、ここでの鉄筋材料はM-φ計算時に使用されません。
:設定した非線形特性やヒンジの特性値パラメータを適用します。
「追加/変更」ボタンを押すと、材料リストの当該材料の使用欄が×から〇に変更されます。
断面
M-φを計算するために必要な追加情報(配筋や補剛材)を入力します。
断面テーブル
M-φを計算するために必要な追加情報を入力します。
名称:断面の名称を表示します。
形状:断面の形状を表示します。
<RC部材の場合>
鉄筋:配筋情報を入力すると〇を表示します。
位置:部材のM-φ関係を計算する断面情報の位置を選択します。I, M, Jから選択できます。
Dir.:断面のy軸まわり、z軸まわりに対する断面情報を入力します。
d:コンクリートの横拘束効果を考慮するための横拘束鉄筋の有効長(平成14/24年の道示V)
α、β:断面補正係数、デフォルト設定は以下の通りです。(平成14/24年の道示V)
- 矩形断面の場合、α=0.2, β=0.4
- 円形断面の場合、α=1.0, β=1.0
- 小判型断面の場合、短手方向は矩形断面の断面補正係数(α=0.2, β=0.4)
長手方向は円形断面の断面補正係数(α=1.0, β=1.0)
- その他の断面の場合、α=0.2, β=0.4
0.15h:塑性ヒンジ長Lpの制限値(平成24年の道示V)
0.0の場合、”0.15×部材長”を塑性ヒンジ長Lpの制限値として使用します。0.0以外の値は入力された値を塑性ヒンジ長Lpの上限値として使用します。
ns:塑性ヒンジ長を算出するための横拘束鉄筋の有効長d'が最も大きいコンクリート部分に配置される圧縮側軸方向鉄筋の本数(平成24年の道示V)
d':塑性ヒンジ長を算出するための横拘束鉄筋の有効長(平成24年の道示V)
d, ns, d' の入力例
<S部材の場合>
l:有効座屈長(平成24年の道示V)
a:横方向補剛材間隔
RF(Rt)、RR:補剛板の幅厚比パラメータ、断面の形状に応じて自動計算された値をデフォルトにし、使用者が変更できます。
c:鋼管杭の腐食代(平成14/24年の道示Ⅳ 杭基礎)
使用:M-φを計算する対象の断面にチェックを入れます。
M-φ計算に対応する断面タイプは以下の通りです。
・鋼断面
:ボックス断面、パイプ断面、スチフナを含むボックス断面、スチフナを含むパイプ断面
SRC-ボックス-スチフナ、SRC-パイプ-スチフナ
・RC断面
:矩形、円形、中空八角形、八角形、矩形-八角形(?)、中空小判型、小判型、半小判型
・PC断面
:PC断面タブにある全ての断面(valueタイプを含む)
鉄筋データの追加/修正
RCやPC部材の配筋情報を入力します。
PC断面
PC断面の上部構造断面に対して鉄筋情報を入力します。
鉄筋の入力方法については「材料/断面>断面マネージャー>鉄筋」の説明をご参考ください。
柱/橋脚
柱断面に対して鉄筋情報を入力します。
断面リスト
定義されている部材の中で、柱部材がリストアップされます。
断面形状
断面リストで選択した部材の断面形状を表示します。
断面データ
断面リストで選択した部材の断面寸法を表示します。
帯筋の形式
断面リストで選択した部材の断面形状を表示します。
配筋
軸方向鉄筋を入力します。
レイヤー:配筋の段数(1~5)
分割数:鉄筋の本数を指定します。断面の位置を1〜3に分けて鉄筋を配筋します。
各断面による区分位置は、断面のガイド図を参照してください。
鉄筋1:鉄筋の直径。交番配筋を入力する場合に鉄筋1と鉄筋2を入力します。交番配筋ではない場合は鉄筋1だけを入力します。
Dc:断面外縁から軸方向鉄筋の中心までの距離。かぶり厚さを入力します。
部材のx軸方向が全体座標系のZ軸に平行な要素を柱部材と見なし、それ以外の部材は梁部材と見なします。部材タイプを変更したい場合は、「材料/断面>非線形特性>部材タイプ修正」を利用して選択した部材のタイプを変更してください。
梁
梁断面に対して鉄筋情報を入力します。
断面リスト
定義されている部材の中で、梁部材がリストアップされます。
断面形状
断面リストで選択した部材の断面形状を表示します。
断面データ
断面リストで選択した部材の断面寸法を表示します。
I-断面、中央、J-断面
梁部材の断面位置別に鉄筋データを入力します。
上部鉄筋:上端の鉄筋量が表示されます。
下部鉄筋:下端の鉄筋量が表示されます。
配筋
上端と下端の鉄筋データを入力します。
上部
上端の鉄筋データを入力します。
レイヤー:配筋の段数(1~10)
数:軸方向鉄筋の本数
鉄筋:鉄筋の規格、交番配筋時に鉄筋1と鉄筋2にそれぞれの規格を入力します。
Dt:かぶり厚さ、上端外縁から鉄筋中心までの距離
下部
下部鉄筋データを入力します。
レイヤー:配筋の段数(1~10)
数:軸方向鉄筋の本数
鉄筋:鉄筋の規格、交番配筋時に鉄筋1と鉄筋2にそれぞれの規格を入力します。
Dc:かぶり厚さ、下端外縁から鉄筋中心までの距離
あばら筋
せん断鉄筋データを入力します。
サイズ:鉄筋の規格
間隔:鉄筋の間隔
数:鉄筋の本数
角度:せん断鉄筋が部材軸となす角度
:断面テーブルで入力したデータを初期化します。
OK/閉じる
OK:設定した内容を保存してダイアログを閉じます。
閉じる:設定した内容を保存せずにダイアログを閉じます。