機能
- 非線形特性の属性を追加、修正、または削除します。
- 非線形特性は、非線形時刻歴応答解析にのみ適用されます。
経路
メインメニュー:[材料/断面] タブ > [非線形特性] グループ > [非線形特性] > [非線形特性の定義]
入力
非線形特性の定義 ダイアログボックス
- :非線形特性を新規に入力または追加します。
- :既に入力された非線形特性を修正または入力された非線形特性の条件を確認します。
- :既に入力された非線形特性を削除します。
- :既に入力された非線形特性をコピーします。
- :CSV 形式ファイルから非線形特性データを読み込みます。
- :非線形特性データをCSV 形式ファイルに出力します。計算方法がユーザー入力、軸力変動の考慮なし として定義された非線形特性のみ出力可能です。
- 閉じる:非線形特性の定義 ダイアログボックスを閉じます。
名称
非線形特性の名称を入力します。
解説
定義する非線形特性の簡単な説明文を入力できます。
降伏強度の計算方法
ユーザー:非線形特性ヒンジ属性をユーザーが直接入力します。
自動計算:選択された材質、断面、および部材情報を利用して非線形特性ヒンジ属性を自動的に計算します。
要素種類
非線形特性のタイプを定義します。4 つのタイプを提供します。
梁-柱
モーメント-回転 (M-θ):集中型ヒンジタイプです。部材の両端部及び中央部に配置された並進バネまたは回転バネに非線形挙動が集中し、他の部分では弾性挙動をするものと仮定したものです。非線性履歴特性はスケルトン曲線で定義することができます。軸方向成分に対しては部材中央のバネに、2つの並進成分は力と変位の関係によって定義される各端のバネに、2つの曲げ成分に対しては部材両端部( I、J または I & J )にモーメント-回転角の関係で定義するバネを配置します。
モーメント-曲率 (M-φ 分布):分散型ヒンジのタイプです。集中型ヒンジタイプとは異なり、部材の全区間にわたって非線性挙動が発生すると仮定するものです。ユーザーにより指定された部材の長さ方向の塑性ヒンジ位置が積分点として定義され、部材の耐力分布を表す断面の柔性マトリックスは積分点で計算されます。積分点は1または3~20個まで入力することができます。積分点の数が2の場合、積分法の継承された特性により、片持ち梁の自由端のモーメントは正確にゼロになりません。したがって、2つの積分点は許可されません。非線性履歴特性はスケルトン曲線とファイバーモデルで定義することができます。軸方向成分の場合には断面での軸力-軸ひずみ関係で、せん断成分の場合には断面でのせん断力-せん断ひずみ関係で、曲げ成分の場合には断面でのモーメント-曲率関係で非線形履歴特性を定義します。
トラス
部材軸方向成分について、部材中央に力-変位関係で定義される1つのバネを配置して、バネの非弾性履歴挙動は、骨組曲線(スケルトン)モデルで定義します。
汎用リンク
材料及び部材の非弾性特性に影響を受ける集中ヒンジや分散型ヒンジとは異なり、汎用リンク要素のプロパティで定義されたプロパティタイプでの成分ごとの弾性特性に対する非線形特性を定義します。各成分の弾性剛性は有効剛性によって定義されて、非弾性解析では初期剛性の役割をします。バネの非弾性履歴挙動はスケルトン曲線モデルとして定義します。バネは3つの並進方向と3つの回転方向に対して非線形特性を定義することができます。 LRB および HDRタイプの振動隔離器の履歴挙動モデルは、バネタイプを使用しないと定義できません。
ヒンジ形式
非線形部材の履歴挙動モデルを定義します。
スケルトン:方向ごとの各成分に対する非線形特性は独立的に挙動すると仮定する一軸ヒンジ履歴モデルで定義します。一軸ヒンジは3つの並進と3つの回転成分が独立的に挙動するヒンジです。
ファイバー:ファイバーモデルは、多軸ヒンジ履歴モデルを定義するのに使用され、梁要素の断面を軸変形のみであるファイバーに分割して解析するモデルです。ファイバーモデルは、断面上の各ファイバーにおいて、材料の応力-ひずみ関係および断面の変形度分布形状の仮定に基づいて、断面のモーメント-曲率関係を非常に正確に追跡することができます。
変動軸力の考慮 (軸力-曲げ)
柱またはブレース部材に対して、軸力とモーメントの間の相関作用を考慮する方法を選択します。
なし:軸力とモーメントの相関作用を考慮しない場合に選択
なし (固定荷重時のNより算定):
軸力とモーメントの相関は考慮しませんが、固定荷重時の軸力の影響を考慮してヒンジの曲げ降伏強度を算定します。この方法では2軸曲げモーメントの相関は無視され、時間増分(time step)に対してヒンジ状態を判定する時は、軸力と2つの曲げモーメントは独立しているものとして扱います。
軸固定荷重時のNより算定する曲げモーメント降伏強度の再計算は、次の条件を満足する場合に可能です。
1) 連続して解析される一連の時刻歴荷重ケースの中で最初の荷重ケースであること。
2) 非線形静的解析を実行すること。
3) 変位制御を使用すること。
対象要素はP-M相関作用が適用されるヒンジ属性が付与された非弾性梁要素です。この時の初期断面力は時間変動の静的荷重(time varying static load)に含まれるすべての静的荷重に対する線形弾性解析結果の組み合わせとして仮定され、組み合わせで使用される係数は時間変動の静的荷重に入力する係数によって定義されます。
あり (P-M-M による考慮):非線形時刻歴応答解析において多軸ヒンジ履歴モデルを使用します。軸力と2軸曲げモーメントの相互作用は、塑性理論により評価します。3次元降伏面を使用して非弾性ヒンジの状態を評価することで、各時間ステップでの相互作用を考慮します。Civil-NX ではノーマルトリリニア型をサポートします。
P-Mパラメータ (マルチカーブ):梁要素の屈曲挙動は、曲げモーメント対曲率関係によって説明されます。この関係は、多重線形関数の形で入力されます。モーメント対曲率関係は、軸力の関数です。軸力は、要素が圧縮状態のときに正の値であり、張力状態のときに負の値です。梁要素の屈曲挙動は、各主慣性面に対して 1 つずつ 2 つの曲げ対曲率関係によって定義されます。2つの曲げモーメント(My及びMz)の間の相互作用は考慮されません。
集中型および分散型の場合、Fy および Fz 成分は軸力およびモーメントとの相互作用を考慮できません。
材料タイプ
タイプ:非線形特性が適用される要素の材料を選択します。選択された材料の種類によって、各要素の降伏応力の定義する方法が異なります。
鉄骨:1次降伏は断面の最大曲げ応力が降伏応力に達した時と定義します。2次降伏は全断面での曲げ応力が降伏応力に達した時と定義します。
RC:1次降伏は断面の最大曲げ応力がコンクリートのひび割れ応力に達した時と定義します。2次降伏はコンクリートの応力が極限状態に達するか、鉄筋が降伏する時と定義します。
SRC(充填):コンクリート充填鋼管型で、鉄骨断面の計算規準に従います。
SRC(被覆):コンクリート被覆型で、RC断面の計算規準に従います。
規準
材料特性による降伏応力とコンクリートひび割れ強度係数などで規定する設計規準を選択する項目です。AISC規準、AIJ規準、ACI規準を提供します。設計規準を選択する項目で、現在はRCおよびSRCタイプに対してコンクリートの亀裂強度係数を選択するための基準としてのみ使用されます。亀裂強度係数としてACI規準は、lb-inの単位で7.5、AIJ規準はkgf-cm単位で1.8を使用します。
名称
非線形特性を適用する材料名を選択します。
部材
タイプ:非線形特性が適用される部材で梁 , 柱 , ブレースを提供します。
ヒンジ位置:非線形特性を適用する部材上の位置を選択します。RC材料の梁材料に対してのみ選択が可能です。I , M , J はそれぞれの部材の I-端 , 中央 , j-端を意味します。選択された位置に対してRC梁部材の配筋情報を利用します。
断面
非線形特性が適用される部材の断面データに関連する情報を入力します。
名称:非線形特性を適用する部材の断面名を選択します。
成分別プロパティ
断面強度の成分別の非線形特性を入力します。
成分:プロパティを入力する断面強度の成分を選択します。バネタイプはすべての成分に対して設定することが可能です。集中型(M-θ)および分散型(M-φ) タイプはMx成分を除くすべての成分で設定可能です。
ヒンジ位置:集中型(M-θ) のヒンジ位置を選択します。軸力成分は部材中心に固定され、せん断および曲げモーメント成分に対しては、要素の I-端 , j-端または両端が選択できます。
分割数:分散型(M-φ) に対して積分点の個数を入力します。20個まで入力可能で、入力数によって各断面での非線形関係が計算されます。軸力成分は軸力-軸ひずみ関係、せん断成分はせん断力-せん断ひずみ関係、曲げ成分はモーメント-曲率関係に非線形特性が設定されます。(梁要素を選択した場合のみ選択可能です。) 積分点位置の梁要素の非線形挙動は、主に部材の端部に集中される場合が多いです。したがって、Civil-NX では部材端部に積分点を位置させるGauss-Lobatto数値積分法を用いています。分割数による各積分点の位置を下図に示します。ただし、積分点が2つの場合はGauss-Lobatto法は考慮できないので、通常のGauss-Legendre法で計算を行います。
梁要素ヒンジモデルの積分点の位置: 0.0は要素の i-端、1.0は要素の j-端を意味します。
非線形特性タイプ:非線形特性の履歴モデルを選択します。
プロパティ:各成分に対する非線形特性のプロパティを入力します。
ファイバー名:分散型(M-φ) のファイバー形式を選択した場合、ファイバー名を選択します。
N-M相関曲面プロパティ...:‘変動軸力の考慮’ で「なし(固定荷重時のNより算定」または「あり(P-M-Mによる考慮)」を選択した場合に P-M相関曲線および3次元の降伏面関連データを入力します。
履歴モデル
一般モデル 剛性低減モデル 非線形弾性モデル スリップモデル |
マルチリニアモデル 免震モデル 履歴関数モデル FEMAモデル 鉄骨モデル |
ノーマルトリリニア型 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、3 線形骨格曲線上で移動します。除荷剛性は弾性剛性と同じです。荷重が増加するにつれて強度が増加する傾向にありますが、これは金属材料のバウシンガー効果をモデリングするのに使用されるものです。そのため、コンクリートの場合はエネルギーの消散量を過大評価することがあるので注意が必要です。モデルの特性上、降伏後の剛性低減率は正(+)、負(-)対称のみ可能です。
原点指向型 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、3 線形骨格曲線上で移動します。除荷時の応答点は原点に向かって移動し、反対側の骨格曲線に到達すると再び骨格曲線上で移動することになります。
最大点指向型 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、3 線形骨格曲線上で移動します。除荷時の応答点は反対側の最大変位点に向かって移動します。反対側でまだ1次降伏が発生していない場合は、骨格曲線上の1次降伏点に向かって移動します。
Clough型 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、2 線形骨格曲線上で移動します。除荷剛性は弾性剛性が次式によって低減された値を使用し、降伏後の変形が進展するにつれて除荷剛性は徐々に減少します。
ここで、
KR:除荷剛性(unloading stiffness)
K0:弾性剛性(elastic stiffness)
Dy:除荷が始まる領域での降伏変位
Dm:除荷が始まる領域における最大変位(降伏する前は降伏変位として用いる)
β:除荷剛性算定用定数
除荷過程で復元力が0になると最大変位点を目指して移動します。まだ降伏していない場合は、骨格曲線上の降伏点を目指して移動します。除荷曲線上で載荷されると除荷曲線上を移動し、骨格曲線にいたると骨格曲線上を移動します。
2次降伏前の挙動
2次降伏後の挙動
2次降伏前は2線形骨格曲線と全く同じ挙動をします。2次降伏後の除荷時中間で1回の除荷剛性の変更によって反対側の最大変形点を目指して移動します。反対側が降伏していない場合は1次降伏点が最大変形点になります。1次および2次除荷剛性は次式で計算され、最大変形点が増加することにより、除荷剛性は徐々に減少します。
ここで、
KR1:1次除荷剛性
KR2:2次除荷剛性
K0:弾性剛性
KC:除荷により荷重点が目指す領域における1次降伏剛性
K1:除荷により荷重点が目指す領域における原点と2次降伏点との間の傾き
b:剛性低減率。 骨格曲線上の1次および2次降伏点の間で除荷発生時は1.0に固定
FM+ , FM-:それぞれ正(+)、負(-)側の最大荷重
DM+ , DM-:それぞれ正(+)、負(–)側の最大変形
降伏前の除荷状態(微小変形時)
降伏前の除荷状態(大変形時)
初期荷重時の応答点は、3 線形骨格曲線上で移動します。
現在の変位あるいは変形Dが初めて1次降伏変形D1を超えた場合、あるいは現在までの最大変形点を超えた場合
1. 載荷の場合、3 線型の骨格曲線上で移動します。
2. この直線から除荷されると、反対側の1次降伏点に向かいます。
3. 反対側の最大変形が弾性域の場合、この弾性域の範囲は反対側の1次降伏点までとなります。
4. 反対側の最大変形がD1を超えた場合は、この弾性域の変形は復元力が0になる点までとし、0である点を超えた後は反対側の最大変形点に向かいます。この最大変形点に向かう直線から除荷される場合の剛性は反対側の最大変形点から除荷される時の剛性を使います。
現在の変位あるいは変形Dが初めてD2を超えた場合、あるいは現在までの最大変形点を超えた場合
1. 3 線形骨格曲線上で移動します。
2. この直線から除荷され反対方向に向かう場合、除荷点から次式で求めた剛性の直線上で移動します。
ここで、
Kun2:外側ループの除荷剛性
P1:除荷点の反対側領域の1次降伏強度
P2:除荷点が属する領域の2次降伏強度
D1:除荷点の反対側領域の1次降伏変位
D2:除荷点が属する領域の2次降伏変位
Dmax:除荷点が属する領域の最大変形
β:外側ループの除荷剛性パラメータ
3. 反対側の最大変形点がD1 を超えない場合、勾配KUN2 の範囲は反対側P1 までとします。このP1 を超える場合はD2 点に向かい、D2 点に向かう直線から除荷が発生すると勾配Kb の直線上に移動します。復元力が0を超えると最大変形点に向かい、最大変形点に向かう直線から除荷が発生すると勾配KUN2 上で移動し、復元力が0を超えると反対側の最大変形点に向かいます。
4. 除荷過程で荷重符号が変わった後、再載荷が発生すると骨格曲線上の目標点に到達する前に除荷が発生する可能性あります。その過程でループが形成されますが、これらはすべて内部ループと呼ばれます。内部ループでの除荷剛性は、次式によって決定します。
ここで、
KRI:内部ループの除荷剛性
Kun2:除荷始点の属する領域の外側ループ除荷剛性
γ:内部ループの除荷剛性低減率
5. 反対側の最大変形がD1を超える場合、勾配KUN2 の範囲は復元力が0になる点までであり、0である点を超えた場合は最大変形点に向かいます。この最大変形点に向かう直線から除荷される場合、そのDが内部ループの最大変形点となり、勾配KUN2 上で移動し、復元力が0である点を超えると最大変形点に向かいます。この最大変形点に向かう直線上で除荷される場合も、Dが内部ループの最大変形点となり、KUN2 上で移動し、復元力が0である点を超えると最大変形点に向かいます。
オリジナル武田型/Tetralinear 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、4 線形骨格曲線上で移動します。
現在の変位あるいは変形DがD3を超える前の履歴規則はオリジナル武田型と同じです。
現在の変位あるいは変形DがD3を超えると、勾配K4上で移動し、除荷時にはオリジナルの武田履歴と同じ規則で移動します。
不勾配で復元力が 0.0 になる点を超える場合、変位軸(X軸)上で移動します。また、除荷時直前の復元力が 0.0 になった点までは X軸上から移動し、その後は通常の履歴規則に従います。
オリジナル武田型/Tetralinear 履歴モデルは、集中型および分散型のバネタイプの梁要素および汎用リンクに適用できます。
修正武田型/Trilinear 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、3 線形骨格曲線上で移動します。
現在の変位あるいは変形Dが初めてD2を超えた場合、あるいは現在までの最大変形点を超えた場合は、3 線形骨格曲線上で移動します。この直線から除荷され、反対方向に向かう場合、復元力が0になる点までは勾配KUN2 上を移動し、復元力が0である点を超えた後は反対側の最大変形点に向かいます。
ここで、
Kun2:外側ループの除荷剛性
K0:弾性剛性
D1:除荷点が属する領域の1次降伏変形
Dmax:除荷点が属する領域の最大変形
β:外側ループの除荷剛性パラメータ
復元力が0となる点から最大変形点に向かう直線から除荷させる場合は、復元力が0となる点に到達するまで勾配Kun2 に沿って移動します。復元力が0となる点を超えてからは、反対側の最大変形点に向かって移動します。
修正武田型/Trilinear 履歴モデルは、集中型および分散型のバネタイプの梁要素および汎用リンクに適用できます。
修正武田型/Tetralinear 履歴モデル
初期荷重時の反応点は、4 線形骨格曲線上で移動します。
現在の変位あるいは変形DがD3を超えない場合、履歴規則は修正武田型/Trilinear 履歴と同じです。
現在の変位あるいは変形DがD3を超えると、勾配K4 上で移動し、除荷時には修正武田型/Trilinear 履歴モデルと同じ規則で移動します。
修正武田型/Tetralinear 履歴モデルは、集中型および分散型のバネタイプの梁要素および汎用リンクに適用できます。
ノーマルバイリニア型/Bilinear 履歴モデル
初期荷重時の反応点は、2 線形骨格曲線上で移動します。除荷剛性は弾性剛性と同じです。ノーマルバイリニア型 履歴モデルは、集中型および分散型のバネタイプの梁要素および汎用リンクに適用できます。
非線形弾性型/Bilinear 履歴モデル
応答点は載荷と除荷に関係なく、常に曲線ループのパターンなしに双線形骨格曲線上で移動します。非線形弾性バイリニア型 履歴モデルは、集中型および分散型のバネタイプの梁要素および汎用リンクに適用できます。
非線形弾性トリリニア型 履歴モデル
応答点は載荷と除荷に関係なく、常に曲線ループのパターンなしに 3 線形骨格曲線上で移動します。非線形弾性トリリニア型 履歴モデルは、集中型および分散型のバネタイプの梁要素および汎用リンクに適用できます。
非線形弾性テトラリニア型 履歴モデル
応答点は載荷と除荷に関係なく、常に曲線ループのパターンなしに 4 線形骨格曲線上で移動します。非線形弾性テトラリニア型 履歴モデルは、集中型および分散型のバネタイプの梁要素および汎用リンクに適用できます。
不勾配で復元力が 0.0 になる点を超える場合、変位軸(X軸)上で移動します。また、除荷時直前の復元力が 0.0 になった点までは X軸上から移動し、その後は通常の履歴規則に従います。
鉛プラグ入り積層ゴム バイリニア型 (LRB Isolator Bilinear Type) 履歴モデル
初期剛性は、初期剛性算出用ひずみによって計算されます。履歴規則は、ひずみがRminを超えない範囲では、2 線形骨格曲線上で移動します。
Qd50:降伏特性値
Kp50:降伏強度
H:層厚
ALF:降伏剛性率(1/6.5)
Rmin:初期剛性算出用ひずみ
KE50:初期バネ係数 (免震装置の50%ひずみ時のバネ定数)
LRB 2線形免震モデルは、バネタイプの汎用リンクにのみ適用可能です。
鉛プラグ入り積層ゴム トリリニア型 (LRB Isolator Trilinear Type) 履歴モデル
H:層の厚さ
Area:受厚面積
Rmin : 初期最大せん断ひずみ(Default:0.01)
SW:支承の種別スイッチ
1 : HDR-G12 (default)
2 : HDR-G10
3 : LRB-G12
4 : LRB-G10
5 : RB-G12
6 : RB-G10
7 : HDR-G8
8 : HDR-S-G12
LRB 3 線形免震モデルは、バネタイプの汎用リンクにのみ適用可能です。
高減衰積層ゴム バイリニア型 (HDR Isolator Type) 履歴モデル
H:層の厚さ
Area:受厚面積
SW:支承の種別スイッチ
1 : KL301(default)
2 : KL401
3 : KL302
4 : KL501
5 : UHD-G6
6 : HD-G8
7 : TOYO
8 : G=8 kgf/㎠
9 : G=10 kgf/㎠
10 : G=12 kgf/㎠
Gs:せん断弾性係数に乗じる係数(default:1.0)
Hs:等価減衰定数にかける係数(default : 1.0)
Us:降伏荷重特性係数にかける係数(default : 1.0)
高減衰免震モデルは、バネタイプの汎用リンクにのみ適用可能です。
スリップ型-Bilinear 履歴モデル
初期荷重時の反応点は、2 線形骨格曲線上で移動します。
変位あるいは変形が |D1|<|D| の場合、除荷時には、反対側の降伏の有無によって次のような規則に従います。
1) 反対側が降伏する前の変位:復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で除荷し、変位軸(X軸)上をA点からB点へ反転移動します。
2) 反対側が降伏した後の変位:復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で除荷し、変位軸(X軸)上をA点からC点へ変転移動します。
応答点がB点を超えると、骨格曲線に達するまで弾性剛性の勾配で移動し、除荷時には復元力が0になる点まで弾性剛性の勾配に除荷され、反転位置から変位軸(X軸)上を移動する過程を繰り返します。
スリップ型-Bilinear 履歴モデルは初期ギャップの設定が可能です。
スリップ型-Bilinear/引張のみ 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、2 線型骨格曲線上で移動します。
変位あるいは変形が |D1|<|D| の場合、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配に除荷され、変位軸(X軸)上で移動します。
再荷重時には、A点までは変位軸(X軸)上で移動し、A点を超えると骨格曲線に到達するまで弾性剛性の勾配で再荷重が継続されます。
スリップ型-Bilinear/引張のみ 履歴モデルは、(+)側の初期ギャップのみ設定可能です。
スリップ型-Bilinear/圧縮のみ 履歴モデルは、(-)側の初期ギャップのみ設定可能です。
スリップ型-Bilinear/圧縮のみ 履歴モデル
スリップ型-Bilinear で初期ギャップ を入力する場合の塑性率 (D/D1) は、次式で計算されます。
スリップ型-Trilinear 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、3 線形骨格曲線上で移動します。
変位あるいは変形が |D1|<|D| の場合、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で除荷され、反転位置A点に達すると変位軸(X軸)上でB点まで移動します。
応答点がB点を超えると、骨格曲線に達するまで弾性剛性で移動し、除荷時には復元力が0になる点まで弾性剛性の勾配で除荷され、反転位置から変位軸(X軸)上を移動する過程を繰り返します。
スリップ型-Trilinear 履歴モデルは初期ギャップの設定が可能です。
スリップ型-Trilinear/引張のみ 履歴モデル
初期荷重時の応答点は、3 線形骨格曲線上で移動します。
変位あるいは変形が |D1|<|D| の場合、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で除荷され、変位軸(X軸)上で移動します。
再荷重時には、A点までは変位軸(X軸)上で移動し、A点を超えると骨格曲線に達するまで弾性勾配で再荷重が継続されます。
スリップ型-Trilinear/引張のみ 履歴モデルは、(+)側の初期ギャップのみ設定可能です。
スリップ型-Trilinear/圧縮のみ 履歴モデルは、(-)側の初期ギャップのみ設定可能です。
スリップ型-Trilinear/圧縮のみ 履歴モデル
スリップ型-Trilinear 履歴モデルに初期ギャップ()を入力する場合の塑性比 (D/D1 , D/D2) は次式で計算されます。
(1) 履歴の概要
マルチリニア-弾性 履歴モデルは、非線形弾性型で力と変位の関係は多線形骨格曲線で定義されます。載荷と除荷に関係なく履歴ループを描かない履歴で骨格曲線上でのみ移動します。曲線は対称または非対称として定義可能で、対応する要素タイプは、集中ヒンジ梁要素 , 分散ヒンジ梁要素 , バネ要素 および トラス要素などです。
(2) 骨格曲線の定義
力-変位 曲線
骨格曲線は、ユーザーが定義した力-変位関係によって定義されます。力-変位曲線を定義するには、次のような制限が適用されます。
力-変位曲線はデータ数に制限がありません。
- 正(+) , 負(-) 両方に1つ以上のデータポイントを定義する必要があり、正(+) , 負(-) のデータ数が同じである必要があります。
- 初期値は (0,0) に設定する必要があります。
- 変位には同じ値は使用できず、力-変位データは変位に基づいて配置されます。
- 力と変位の符号は常に同じである必要があります。
- 変位曲線では、負の傾きは許可されていません。したがって、力は正側で徐々に増加し、負側で減少しなければなりません。変動は許されません。
(3) マルチリニア-弾性 履歴モデルの規則
マルチリニア-弾性型に対する履歴曲線は、非線形弾性/テトラリニア型と同じです。
(1) 履歴の概要
マルチリニア-塑性移動硬化 履歴モデルは、移動硬化規則に基づいて、力と変位の関係は多線形骨格曲線で定義されます。曲線は対称または非対称として定義可能で、対応する要素タイプは、集中ヒンジ梁要素 , 分散ヒンジ梁要素 , バネ要素 および トラス要素などです。
(2) 骨格曲線の定義
力-変位 曲線
骨格曲線は、ユーザーが定義した力-変位関係によって定義されます。力-変位曲線を定義するには、次のような制限が適用されます。
力-変位曲線はデータ数に制限がありません。
- 正(+) , 負(-) 両方に1つ以上のデータポイントを定義する必要があり、正(+) , 負(-) のデータ数が同じである必要があります。
- 初期値は (0,0) に設定する必要があります。
- 変位には同じ値は使用できず、力-変位データは変位に基づいて配置されます。
- 力と変位の符号は常に同じである必要があります。
- 変位曲線では、負の傾きは許可されていません。したがって、力は正側で徐々に増加し、負側で減少しなければなりません。変動は許されません。
(3) マルチリニア-塑性移動硬化 履歴モデルの規則
1. の場合、マルチリニア-塑性移動硬化に対する履歴曲線は、従来の移動硬化規則に従います。
2. の場合は骨格曲線上で除荷し、除荷側の1次降伏強度(P1(+) または P1(-)) の大きさだけ除荷され(Rule:1)、復元力が0になる点まで反対側の1次降伏(D1(-)またはD1(+))だけ除荷される点に向かって移動します(Rule:2)。復元力がゼロを超えると、移動硬化規則が適用されます。
(1) 履歴の概要
マルチリニア-塑性武田型 履歴モデルは、多線形剛性低下モデルです。曲線は対称または非対称として定義可能で、対応する要素のタイプには、集中ヒンジ梁要素 , 分散ヒンジ梁要素 , バネ要素 および トラス要素などです。
マルチリニア-塑性武田 履歴モデル
(2) 骨格曲線の定義
力-変位 曲線
骨格曲線は、ユーザーが定義した力-変位関係によって定義されます。力-変位曲線を定義するには、次のような制限が適用されます。
力-変位曲線はデータ数に制限がありません。
- 正(+) , 負(-) 両方に1つ以上のデータポイントを定義する必要があり、正(+) , 負(-) のデータ数が同じである必要があります。
- 初期値は (0,0) に設定する必要があります。
- 変位には同じ値は使用できず、力-変位データは変位に基づいて配置されます。
- 力と変位の符号は常に同じである必要があります。
- 変位曲線では、負の傾きは許可されていません。したがって、力は正側で徐々に増加し、負側で減少しなければなりません。変動は許されません。
除荷剛性パラメータ, β
(+)側と(-)側の除荷時の剛性は、次のように計算されます。β=0の場合、除荷剛性は弾性剛性と同じになります。
ここで、
D1(+) , D1(-):(+) , (-) 側降伏変位
D1max(+) , D1max(-):(+) , (-) 側の最大変位(降伏が発生していない場合は、降伏変位に置換え)
β:除荷剛性パラメータ(0≤β≤1)
(3) マルチリニア-塑性武田 履歴モデルの規則
1. │ Dmax │< D1 の場合は線形弾性となり、原点を通る弾性勾配であるK0を維持します。
2. 変位Dが最初にD1(+)を超えるか、現在までの最大値Dを超えると、曲線は骨格曲線に従います。
3. 力がD1(+)<D または D<D1(-) 状態で除荷される時、曲線は Kr(+) または Kr(-) の勾配で除荷剛性に従います。
4. Dは除荷の過程で力の符号が変わると、反対側の最大変位Dmaxに向かって移動します。反対側が降伏していない場合、降伏点が最大変位となります。
(1) 履歴の概要
マルチリニア-塑性ピボット 履歴モデル(以下、塑性ピボットモデル)は、R.K.Dowell , F.Seible & E.L.Wilson(1998) が提案したマルチリニア-塑性剛性低下モデルです。塑性ピボットモデルは、鉄筋コンクリート部材の 応力-ひずみ または モーメント-回転 の非線形関係を制御するために、複数のピボット点を使用します。したがって、このモデルは除荷が発生したときの剛性低下とピンチング効果を正確に表すことができます。
曲線は対称または非対称として定義できます。対応する要素のタイプには、集中ヒンジ梁要素 , 分散ヒンジ梁要素 , バネ要素およびトラス要素があります。
(2) 骨格曲線の定義
力-変位 曲線
骨格曲線は、ユーザーによって定義された力-変位関係によって定義されます。力-変位曲線の定義には、次の制約事項が適用されます。
- 力-変位曲線には、データの数に制限はありません。
- 正(+)側と負(-)側の両方で少なくとも1つのデータポイントを定義する必要があり、正(+)側と負(-)側のデータ数は同じである必要があります。
- 初期値は (0,0) に設定する必要があります。
- 変位に同じ値を使用することはできず、変位を基準にして力-変位データが配置されます。
- 力と変位の符号は、常に同じでなければなりません。
- 力-変位曲線では、最終値を除いて負の傾斜は許可されません。そのため、力は曲線上の最後の点を除いて、正(+)側で徐々に増加し、負(-)側で減少する必要があります。変動は許されません。
プライマリ ピボット ポイント
プライマリピボットポイント P1 および P3 は、Q1 および Q3 領域で除荷曲線の向きを指定するポイントを表します。プライマリピボットポイント P1 および P3 は、変形または変位の変化による除荷剛性の低下を制御します。 P1 と P3 は、(+)側と (-)側の初期剛性の延長線に沿って配置され、降伏強度 Fy(+) と Fy(-) および増減係数 α1 と α2 によって定義されます。
α1:Q1側から除荷する場合のピボットポイントP1を定義するために使用される増減係数(α1 ≥1)
α2:Q3側から除荷する場合のピボットポイントP3を定義するために使用される増減係数(α2 ≥1)
最大変位点が初期剛性軟化係数(η) によって更新されるたびに、プライマリピボットポイント P1 および P3 の位置は、それぞれ降伏後に P1* および P3* に移動します。ただし、η=0 の場合、プライマリピボットポイント P1 および P3 の位置は変更されません。
プライマリピボットポイント
ピンチング ピボット ポイント
ピンチングピボットポイント PP2 及び PP4 は、復元力が0を超えた後に Q1 および Q3 領域で除荷曲線が向かうポイントを表します。PP2 および PP4 は、初期剛性の降伏強度 Fy(+) およびFy(-) と増減係数 β1 および β2の降伏強度によって定義される (+)側 および (-)側の弾性領域の骨格曲線上に位置します。
β1:Q2側で載荷時にピボットポイント PP2 を定義するのに使用される増減係数 (0<β1≤ 1)
β2:Q4側で載荷時にピボットポイント PP4 を定義するのに使用される増減係数 (0<β2≤ 1)
降伏後のピンチングピボットポイント PP2 および PP4 の位置は、初期剛性軟化係数 (η) により最大変位点が更新されるたびに、それぞれ PP2* および PP4* に移動します。ただし、η =0のときのピンチングピボットポイント PP2 および PP4 は変更されません。
ピンチングピボットポイント
剛性軟化係数:η
η は、降伏後の初期剛性低下を制御するために使用される初期剛性軟化係数です。降伏後、プライマリピボットポイント P1 および P3 は、それぞれ(+)側と(-)側の最大変位点から延長された線上に位置する P1* および P3* に移動されます。P1* および P3* は、Fy(+) および Fy(-)、増減係数および初期剛性軟化係数(η)によって定義されます。
また、ピンチングピボットポイント PP2 および PP4 は、P1* (またはP3*) と原点を通る直線と、PP2 (または PP4 ) を (+) , (-)側の最大変位点を結ぶ直線の交点である PP2* および PP4* で移動します。
増減係数 β1 および β2 の更新
ピンチングピボットポイント 増減係数 β1 および β2 は、以下の条件で降伏した後に更新されます。
初期剛性軟化係数
増減係数 β1 および β2 の更新
(3) マルチリニア 塑性ピボット 履歴モデルの規則
1. │Dmax │< D1の場合は線形弾性で、原点を通る弾性勾配 Ko の直線状で移動します。(規則:0)
2. i) 変位Dが初めてD1_(±)を超える場合、曲線は骨格曲線に従います。 (規則:1)
ii) この直線上で除荷される場合は、P1 あるいは P3 方向に向かって移動します。(規則:2)
iii) 復元力が0になる前に再載荷する場合は、同じ除荷直線に沿って進み (規則:3)、骨格曲線に到達すると骨格曲線上を移動します。(規則:4)
iv) 復元力が0を超える場合、PP2 または PP4 に向かって移動します。(規則:5)
v) PP2 または PP4 を超えて降伏しなかった場合は、弾性勾配面の直線に沿って曲線が移動 (Rule:6)し、変形が大きくなり降伏すると骨格曲線に沿って移動します。(Rule:7)
3. i) 両側が降伏した後、骨格曲線上で除荷が発生すると、P1 または P3 方向に向かって移動します。(規則:8) ただし、 η が0でない場合は更新された P1* または P3* に向かって移動します。
ii) 復元力が0を超える場合は PP2 または PP4 に向かい、η が0でない場合は更新された PP2* または PP4* に向かって移動します。(規則:9)
iii) PP2 または PP4 に到達する前に除荷が発生すると、除荷点と P4 (または P2 ) を通る直線に沿って移動します。(規則:10) 復元力が0に達する前に再荷重が発生すると、曲線は P3 (または P1 ) に向かって移動します。(規則:11)
iv) 復元力が0を超える場合、復元力が0の点と P3 (または P1 ) を結ぶ線に沿って移動します。(規則:12) 曲線が PP2 (または PP4 ) と (または PP4 ) を結ぶ線と交差する場合は、最大変形店に向かって移動します。(規則:13)
マルチリニア P-Mタイプは、2 線形および多重線形の可塑性が可能です。ひずみ硬化は、等方性 , 運動学的 または混合です。モーメント-曲率 関係は、曲率符号に対して対称または非対称のいずれかになります。対称であれ非対称であれ、全体のモーメント-曲率 曲線を入力する必要があります。最初のデータポイントは負の破断に相当し、最後のデータポイントは正の破断に相当します。1つのデータポイント(ゼロ点) は原点にある必要があります。曲線の正と負の部分には、異なる数のデータポイントを使用できます。
曲げモーメントと曲率の関係は軸力に依存する可能性があり、その依存性は引張と圧縮において異なる場合があります。曲げモーメント-曲率 曲線の入力は、異なるレベルの軸力に対する曲げモーメント-曲率 曲線で構成されます。軸力の数は少なくとも2つである必要があります。
入力されていない軸力レベルに対する曲げモーメント-曲率 曲線を得るために補間が使用されます。 この補間は、曲げモーメント-曲率 曲線ではなく、曲げモーメント-塑性曲率 曲線で行われ、曲げモーメント-塑性曲率 曲線は、曲げモーメント-曲率 曲線から自動的に計算されます。
曲げモーメント-曲率 関係は対称または非対称のいずれかになります。対称か非対称に関係なく、全体の曲げモーメント-曲率 曲線を入力する必要があります。
各モーメント成分は、1-D Von-mise モデルに従います。
マルチリニア P-Mタイプ
特定の軸力の下での降伏モーメントは、次のように定義できます。
バネタイプの汎用リンク要素が静的増分解析のための非線形ヒンジと定義されれば、midas Civil-NXが提供するすべての履歴モデルを使用することができます。
非線形特性プロパティ
非線形プロパティ ダイアログボックス
入力方法
ユーザー入力:ユーザーが降伏特性を直接入力します。
自動計算:降伏特性が自動計算されます。
入力タイプ
降伏強度-剛性低下率:強度と剛性低下率を入力して降伏特性を定義します。
降伏強度-降伏変位:強度と降伏変位を入力して降伏特性を定義します。
タイプ
骨格曲線が対称か非対称かを選択します。非対称性は降伏強度 , 剛性低下率およびヒンジ状態に適用されます。ただし、ノーマルトリリニア型(移動硬化 Kinematic Hardening) モデルはその特性上、剛性低下率に対する非対称性を許容しません。
降伏強度
降伏強度を意味します。降伏特性の自動計算機能を利用するか、材料および断面の性質に基づいてユーザーが入力します。降伏強度は、引張側(t)、圧縮側(c)を問わず、正(+)の値で入力します。プログラムは内部的に圧縮側(c)を(-)として扱います。
P1:1次降伏強度を意味します。材料タイプが鋼材またはSRC(充填)の場合、1次降伏は断面の最大曲げ応力が降伏応力に到達した状態を意味します。材料タイプがRCまたはSRC(被覆)の場合、1次降伏は断面の最大曲げ応力がコンクリートにひび割れ応力に到達した状態を意味します。
P2:2次降伏強度を意味します。材料タイプが鋼材またはSRC(充填)の場合、2次降伏は全断面での曲げ応力が降伏応力に到達した状態を意味します。材料タイプがRCまたはSRC(被覆)の場合、2次降伏はコンクリート断面の応力が最大強度に到達するか鉄筋が降伏強度に到達した状態を意味します。曲げの場合、コンクリートの応力は長方形の応力ブロックに基づいています。
P3:3次降伏強度を意味します。
剛性低下率
入力タイプで降伏強度–剛性低下率を選択した場合、骨格曲線の剛性低下率を入力します。
α1:1次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比率
α2:2次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比率。 骨格曲線がTrilinearあるいはTetralinearの場合に定義します。
α3:3次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比率。 骨格曲線がTetralinearの場合に定義します。
降伏変位
入力タイプで降伏強度–降伏変位を選択した場合、骨格曲線の降伏変位を入力します。
D1:1次降伏変位成分あるいは変形
D2:2次降伏変位成分あるいは変形。 骨格曲線がTrilinearあるいはTetralinearの場合に定義します。
D3:3次降伏変位成分あるいは変形。 骨格曲線がTetralinearの場合に定義します。
塑性進行段階
非弾性ヒンジの変形の程度を表す指標を計算するために必要なデータです。
塑性率:塑性率を計算する方法を選択します。塑性率は、ユーザーの選択によって発生した変形に対する1次降伏変形または2次降伏変形で除した値で計算されます。
ヒンジ状態:ヒンジ状態を5つのレベルに区分する基準塑性率を入力します。非対称ヒンジの場合、各タイムステップでのヒンジ状態レベルは、正(+) , 負(-)方向レベルのうち大きい方で決定します。レベル-1(0.5)なら弾性状態を意味し、レベル-2(1)は降伏状態、そしてレベル-3(2)、レベル-4(4)、レベル-5(8)は各部材の塑性率の程度を表す指標です。解析結果では、それぞれ青 , 緑 , 黄緑 , 橙色 , 赤で表現されます。
初期剛性
非線形解析で使用される初期剛性を選択するか、ユーザーが直接入力します。
6EI/L , 3EI/L, 2EI/L:曲げモーメント成分に対する集中型非弾性ヒンジの骨格曲線上の初期剛性を選択します。初期剛性の選択は曲げモーメントの材軸方向分布に対する仮定に基づきます。要素タイプでモーメント-回転(集中型 M-θ)を選択した場合のみ選択可能です。モーメント-曲率(分散型 M-φ)の場合は選択できません。
6EI/L:直線分布と仮定された曲げモーメントの両端値が、大きさが同じで方向が反対の場合
3EI/L:一方の端部で0の場合
2EI/L:両端値の大きさおよび符号が同じ場合
ユーザー:入力タイプが降伏強度–剛性低下率の場合、骨格曲線上の初期剛性を選択またはユーザーが直接入力します。
弾性剛性:部材の弾性剛性を非線形解析時の初期剛性として使用します。
骨格曲線から求める:入力タイプが降伏強度–降伏変位の場合、ゆーざーが直接入力した降伏強度と降伏変位の比を初期剛性として使用します。
除荷剛性パラメータ
除荷剛性パラメータβ:骨格曲線の履歴モデルの中で、Clough 型と武田型モデルで使用する外側ループの除荷剛性を決定するオプションです。降伏後に変形が進むことによって発生する剛性低下の影響を反映するために使用されます。除荷剛性は、除荷が始まる領域での降伏変位と最大変位によって減少した弾性剛性と、ここで入力された係数によって決定されます。
内部ループ反復時の剛性低下率α:骨格曲線の履歴モデルの中で、武田型モデルで使用する内部ループ除荷剛性を決定するオプションです。除荷過程で荷重符号が変わった後、再載荷される途中に骨格曲線上の目標点に到達しなくて除荷が発生して形成される内側ループの除荷剛性を決定するのに使用されるパラメータです。内側ループの除荷剛性は、外側ループの除荷剛性と内側ループ除荷剛性低下率の掛け算によって計算されます。
N-M相関曲面プロパティ
N-M相関曲面プロパティ ダイアログボックス
N-M 相関曲線
3次元降伏面を計算するために必要なP-M相関曲線データを入力します。すべての強度値は正の符号で入力する必要があります。P-M曲線を表示するための符号規則は、圧縮の場合は正,引張の場合は負です。
入力方法:以下の変数を定義するため、ユーザー入力および材料と断面形状に基づいた自動計算の2つの入力方法をサポートします。一部の項目だけを自動計算して、残りはユーザー入力したい場合は、まず自動計算を実行してその後ユーザー入力に切り替えて必要な項目だけを直接修正します。
鉄筋の有効断面積を考慮した引張強度:次の3つの項目は、材料タイプがRCまたはSRC(被覆)の場合にのみ要求されます。数値はすべて正の値で入力します。
NC0(t):純引張力に対するひび割れ強度
MC0y:軸力が作用しない断面の y軸-曲げに対する曲げひび割れ強度
MC0z:軸力が作用しない断面の z軸-曲げに対する曲げひび割れ強度
次の12項目は、材料タイプに関係なく要求されますが、RC及びSRC(被覆)については、NC0(t) , MC0yおよびMC0zを基に近似されたNC(t) , NC(c) , NCBy , NCBz , MCy,max , MCz,max を入力、または自動計算します。数値はすべて正の値で入力します
1st N-M 相関曲面:ひび割れ相関曲線での強度
NC(t):純引張力に対する1次降伏強度
NC(c):純圧縮力に対する1次降伏強度
NCBy:断面のy軸-曲げに対する1次降伏相関曲線で均衡破壊発生時の軸力
NCBz:断面のz軸-曲げに対する1次降伏相関曲線で均衡破壊発生時の軸力
MCy,max:断面のy軸-曲げに対する1次降伏相関曲線で最大曲げ降伏強度
MCz,max:断面のz軸-曲げに対する1次降伏相関曲線で最大曲げ降伏強度
2nd N-M 相関曲面:降伏相関曲線での強度
NY(t):純引張力に対する2次降伏強度。
NY(c):純圧縮力に対する2次降伏強度。
NYBy:断面のy軸-曲げに対する2次降伏相関曲線で均衡破壊発生時の軸力
NYBz:断面のz軸-曲げに対する2次降伏相関曲線で均衡破壊発生時の軸力
MYy,max:断面のy軸-曲げに対する2次降伏相関曲線で最大曲げ降伏強度
MYz,max:断面のz軸-曲げに対する2次降伏相関曲線で最大曲げ降伏強度
1st , 2nd N-M 相関曲線
N-M相関曲線の形状を入力します。相関曲線の形状は、正規化された曲線上の 11 点の座標で表現されます。この中で引張(E(t)) , 圧縮(E(c))および曲げ方向の最外郭点座標(0)は、0または1で固定されるので残りの8個所の座標を入力します。材料タイプがRCまたはSRC(被覆)の場合は、1次降伏に関する相関曲線が直線形状であるため入力する必要はありません。正規化された座標の軸力成分の計算および図示において圧縮の場合には(+)、引張の場合には(-)で表現します。
降伏面の近似化方法
N-M相関曲線に基づいて3次元降伏面のパラメータをユーザー入力または自動計算します。一部の項目だけを自動計算し、残りはユーザー入力したいる場合は、まず自動計算を実行してユーザー入力に切り替えた後、必要な項目だけを直接修正します。ただし、αの場合はユーザー入力のみ可能です。それぞれのパラメータは、ダイアログに表示された降伏曲面の式で使用される値です。
βy , βz , γ:N-My または N-Mz 相関の次数で1次および2次降伏に対して異なる値を入力できます。また、βy , βz は、均衡破壊発生時の軸力を基準に、それより大きい軸力と小さい軸力の領域に対して、異なる2つの値を入力することができます。
α:1次および2次降伏に対する My-Mz 相関関係の次数
N-M 相関曲線と近似曲線
ユーザー入力または材料および断面性質によって計算されたN-M相関曲線と、これに基づいて構成された3次元降伏面の形状を表示します。降伏面は、基準平面上に投影された外枠線を表示します。これにより、N-M相関曲線と3次元降伏面がどの程度一致しているかを確認できます。
プロット:表示する相関曲線または降伏面を選択します。N-My , N-Mz , My-Mz の3つを選択することができます。
CSV 書き出し
Column No. |
Item |
入力値 |
Description |
1 |
非線形特性の名称 |
|
|
---|---|---|---|
2 |
要素 |
L, D, S,T |
L:材端バネ付き梁要素(Lumped) D:ビーム要素(Distributed) S:バネ(Spring) T:トラス(Truss) |
3 |
成分 |
1 ~ 6 |
1 : Fx 2 : Fy 3 : Fz 4 : Mx 5 : My 6 : Mz |
4 |
分割数 |
1, 3 ~ 20 |
梁-柱のビーム要素を選択した場合のみ入力し、それ以外の場合は空欄にする。 |
5 |
非線形特性タイプ |
KH, OO, PO, C, DT, TT, MT, MTT, NB, EB, E, ET |
KH : 移動硬化型/Kinematic Hardening OO : 原点指向型/Origin Oriented PO : 最大点指向型/Peak Oriented C : Clough型 DT : 深田型/Degrading Trilinear TT : 武田型-Tetralinear/Takeda Tetralinear MT : 修正武田型/Modified Takeda MTT : 修正武田型-Tetralinear/Modified Takeda Tetra NB : ノーマルバイリニア/Nomal Bilinear EB : 非線形弾性型-Bilinear//Elastic Bilinear E : 非線形弾性型-Trilinear/Elastic Trilinear ET : 非線形弾性型-Tetralinear/Elastic Tetralinear |
6 |
タイプ |
0, 1 |
0 : 対称 1 : 非対称 |
7 |
初期剛性 |
6, 3, 2, U, E, S |
6 : 6EI/L 3 : 3EI/L 2 : 2EI/L U : ユーザー E : 弾性剛性 S : 骨格曲線 |
8 |
初期剛性, K |
|
7番列で"U" , "ユーザータイプ"と入力する場合、初期剛性を直接入力します。 |
9 |
降伏強度-入力タイプ |
R, D |
R : 強度 - 剛性低下率 D : 強度 - 降伏変位 |
10 |
Unit - Force |
|
|
11 |
Unit - Length |
|
|
列12~29は降伏強度の入力タイプによって異なる入力をします。
Column No. |
|
降伏強度 - 剛性低下率 選択時 |
降伏強度 - 降伏変位 選択時 |
12 |
(+) |
P1 : 1次降伏強度 |
P1 : 1次降伏強度 |
13 |
α1 : 1次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比 |
D1 : 1次降伏変位または変形成分 |
|
14 |
P2 : 2次降伏強度 |
P2 : 2次降伏強度 |
|
15 |
α2 : 2次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比 |
D2 : 2次降伏変位または変形成分 |
|
16 |
P3 : 3次降伏強度 |
P3 : 3次降伏強度 |
|
17 |
α3: 3次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比 |
D3 : 3次降伏変位または変形成分 |
|
18 |
- |
P4 : 4次降伏強度 |
|
19 |
- |
D4 : 4次降伏変位または変形成分 |
|
20 |
|
P1 : 1次降伏強度 |
P1 : 1次降伏強度 |
21 |
|
α1 : 1次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比 |
D1 : 1次降伏変位または変形成分 |
22 |
|
P2 : 2次降伏強度 |
P2 : 2次降伏強度 |
23 |
|
α2 : 2次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比 |
D2 : 2次降伏変位または変形成分 |
24 |
(-) |
P3 : 3次降伏強度 |
P3 : 3次降伏強度 |
25 |
|
α3 : 3次降伏勾配の剛性を初期剛性で除した比 |
D3 : 3次降伏変位または変形成分 |
26 |
|
- |
P4 : 4次降伏強度 |
27 |
|
- |
D4 : 4次降伏変位または変形成分 |
28 |
|
β : 除荷剛性パラメータ |
β : 除荷剛性パラメータ |
29 |
|
α : 内部ループ反復時の剛性低下率 |
α : 内部ループ反復時の剛性低下率 |