機能
- 一体型橋梁 (Integral Bridge) は、上部構造に伸縮連結装置を設置せず、上部構造と橋台を一体化した橋梁形式で、上部構造の変形を橋台と杭の柔軟な挙動で吸収します。
- このような形式では温度変化による上部構造の変形が重要であり、上部構造の膨張/収縮により橋台背面の地盤が影響を受けます。上部構造の膨張による土砂の圧縮と上部構造の収縮による背面土砂の流れが繰り返され、橋台背面は深さによる地盤反力係数と土圧分布が変化します。
- 上部構造が膨張してから再び収縮することを一つの周期(Cycle)としたとき、この周期が無限に繰り返されると背面地盤の地盤反力係数分布が一定の特性で収束する、と提案したB.M.Lahane の実験式を使用して地盤バネを割り当てます。
- このような特性を反映するために、水平方向は圧縮専用バネで、接線方向は線形弾性バネで地盤をモデリングします。
経路
メインメニュー:[境界条件] タブ > [その他] グループ > [地盤バネ]
入力
橋台スプリング
埋め戻しと基礎の地盤バネを自動配置します。埋め戻し土は圧縮専用バネ () として定義され、基礎は線形弾性バネ () として定義します。入力されたデータは、"節点バネ支持テーブル" で確認することができます。
地盤バネ (橋台バネタイプ) ダイアログボックス
橋台の要素
方向:弾性連結の配置方向を選択します。
要素リスト:橋台背面の地盤バネを入力する要素を選択
梁要素にバネを設置する際に使用可能な断面は、ソリッド 面 ()、ソリッド節点 ()の2つに制限されます。
β角度が入力された梁要素橋台の縦方向の長さは投影長さ ().で計算され、この長さは基礎の縦方向長さにも適用されます。
基礎の節点選択
基礎部の地盤バネを連結する節点を選択します。
基礎部に該当する節点は一直線上にある必要があります。
一直線上にある節点でも要素が連続していなければ、連続した(2つ以上)節点だけを選択して地盤バネを入力します。
ソリッド要素でモデリングした場合には、橋台/基礎幅の中央部に節点を生成する必要があり、下図の青色で示した部分の節点を選択します。
ジオメトリデータ
橋台の高さ(H):交代の高さ
橋台の幅(B):橋台の幅
デッキの長さ(L):デッキの縦方向の長さ
土壌パラメータ
孔隙率 (e):橋台背面土の間隙比
比重 (Gs):橋台背面土の比重 , 一般的に 2.65を使用します。
サイクルファクター:この係数は、[Cosgrove et al (2001)] が実施したテストに基づいて約 2 と評価されています。また、これにはサイクルによる孔隙率の減少が組み込まれています。デッキは温度変化により膨張したり収縮したりします。一体型橋台も一緒に変形します。これは、無限サイクル後の状態を説明する経験式で使用される係数です。
ジオメトリデータ
橋台の高さ(H):交代の高さ
橋台の幅(B):橋台の幅
デッキの長さ(L):デッキの縦方向の長さ
温度膨張
デッキの温度増分量:デッキの温度増加程度
α:デッキの熱膨張係数
ストリップ基礎のバネデータ
基礎幅(W):基礎の幅
基礎土圧応力(p'):基礎支持力
回転バネ方向:基礎の回転方向。基礎の長さ方向が y の場合、Ryを選択します。
C橋台背面土用 圧縮専用バネの剛性計算
単位面積当たりの剛性
Broms (1971)によると、一体型橋梁 (Integral Bridge) の基礎背面地盤の横方向変位と横方向応力は上図のような関係を持っており、単位面積当たりの剛性は次のように計算します。
バネの剛性
最終的なバネ剛性は、単位面積あたりの剛性に面積を掛けて計算されます。
橋台基礎の線形弾性バネの剛性計算
単位面積当たり剛性
バネの剛性
最終的なバネ剛性は、この単位面積あたりの剛性に面積を掛けて計算されます。
橋脚バネ
杭の地盤バネを自動入力します。杭の横方向は対称非線形弾性バネ () として定義され、杭の接線方向は線形弾性バネ () として定義します。剛性が計算された地盤バネは、一般タイプの節点バネ支持として入力され、入力されたデータは "節点バネ支持テーブル" で確認できます。
地盤バネ (橋脚バネタイプ) ダイアログボックス
杭バネデータ
土壌タイプ:砂 / 粘土 / 硬質粘土 の3つに分けられ、選択する土砂の種類によって剛性の計算方法が異なります。以下のバネ剛性の計算方法をご参照ください。
地表面のレベル:地表面のZ座標
杭直径(D):杭の直径
土壌の単位重量(γ):土の単位重量
停止土圧係数(K0):静止土圧係数
地盤反力係数(Kh):地盤反力係数
内部摩擦角(Φ):土の内部摩擦角
初期地盤弾性係数(k1) : 相対密度によって決定される定数で、杭の水平方向非線形弾性バネの剛性決定に使用されます。以下のk点とm点の定義部分を参照してください。
杭バネが割り当てられる要素は、ローカル軸が同じ方向に揃っている必要があります。
杭(水平方向)非線形弾性バネの剛性計算
任意深さ X における横変位 Y と単位長さあたりの地盤反力(kN/m)の関係は、上のグラフのような関係を持ちます。任意深さ X (すなわち、地盤バネの位置) で Pk , Pm , Pu , Yk , Ym , Yu の値が定義されます。地盤の種類によって、Pu を定義する計算方法が異なり、Pk , Pm , Yk , Ym , Yu の位置は、Pu を通じて同じ方法で計算されます。計算方法は大きく 砂 と 粘土 に分類され、J値を相違に適用して 軟質粘土 と 硬質粘土 に区分します。
地盤が砂質土(Sand)の場合のPu
Xt 値は、以下の2つの場合の Pu が同じ場合に対する深さの値を示すので、Pu に対する下の2つの式を連立して X に対して整理し、2次方程式を解いて解を求めた後、適切な値を選択します。
地盤が粘土(Clay)の場合のPu
k点とm点の定義
Yk が Ym より大きく、Yu より小さいと p-y 曲線は以下のように 3-線型になります。
Yk が Yu より大きいと、p-y 曲線は以下のように双線型になります。
バネの剛性
最終的なバネ剛性は、前述の単位面積あたりの剛性に面積を掛けて計算されます。
杭(接線方向)線形弾性バネの剛性計算
杭接線方向の線形弾性バネの方向は、地面に垂直な方向(全座標系-Z)であり、杭が地面に対して垂直でない場合には、杭を構成する節点の節点座標系 z方向が全座標系Z方向と一致するように、節点座標系を修正する必要があります。