機能
- 梁要素の断面内に発生する温度差を入力します。補強ガーダーのあるアーチ , ラーメン , 鋼床板などでは、太陽の直射部分と日陰部分との温度差を考慮するようにしており、このような条件を実現する際に使用します。
- 断面内の温度差を実現する機能としては、この機能以外にも “温度勾配荷重” があります。
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温度勾配荷重 機能は梁要素全体の断面に対し、上端と下端の温度差を入力することにより、梁要素断面の任意領域に温度差を入力できる梁断面温度荷重 機能と区別されます。
- 梁断面温度荷重 機能は、基本的に長方形の断面を持つ要素に温度差を入力します。
一般タイプ:上図のように温度差荷重を入力する梁要素が長方形の断面でなければ、実際の温度差荷重と同じモーメントを誘発するように温度荷重が作用する領域を長方形の領域に換算して幅と高さを入力する必要があります。
PC/合成:形状が複雑で使用頻度の高いPC断面(PC-数値断面は除く)と合成断面は、プログラムで自動的に該当領域を分割、換算して温度差荷重を入力します。上図ではPC断面を使用していますので、ユーザーが直接換算の長方形領域を計算する代わりに、PC/合成 オプションで自動計算機能を利用することもできます。
経路
メインメニュー:[荷重] タブ > [タイプ:温度荷重] > [温度荷重] グループ > [梁断面温度荷重]
入力
梁断面温度荷重 ダイアログボックス
荷重ケース名
単位荷重ケース選択欄で、希望する荷重ケースを指定します。追加で荷重ケースを入力または修正 , 削除が必要な場合は、右側のボタンをクリックします。
荷重グループ名
入力した荷重条件を含む荷重グループを選択します。グループ指定が不要な場合は、"デフォルト"を選択します。荷重グループを追加生成または修正するには、 ボタンをクリックして「荷重グループの定義」ダイアログボックスを呼び出します。
オプション
追加:任意の要素に対して、梁断面温度荷重を新規または追加入力する場合に指定
変更:任意の要素に対して、既に入力されている梁断面温度荷重を変更する場合に指定
削除:任意の要素に対して、既に入力されている梁断面温度荷重を削除する場合に指定
断面タイプ
一般:一般断面の上下縁の温度差を入力する場合に選択
正方形の断面でない場合には、温度差が発生する部分を面積と図心が同じ長方形に換算して温度差を入力する必要があります。詳細は「FSM Bridge 施工段階解析」の温度荷重入力部分を参照してください。
PC/合成:PCまたは合成断面で定義された梁要素に温度差を入力する場合に選択
断面タイプ “一般”
方向
ローカル-y:要素座標系 y軸方向の温度差を入力
ローカル-z:要素座標系 z軸方向の温度差を入力
参照位置
温度荷重が作用する位置の基準位置を選択します。ここで決定された基準位置から温度荷重が作用する位置(H)を入力します。
中央:梁要素断面の図心
+端部(上部):梁要素断面の上端
- 端部(下部):梁要素断面の下端
断面温度
初期温度
初期温度を表示します。初期温度は “解析モデルの基本設定” で入力します。
材料
梁要素の材料を定義します。
要素:選択された梁要素に割り当てられた材料情報を利用
入力:熱応力解析に適用する材料情報を直接入力
弾性係数:弾性係数
線膨張:熱膨張係数
B:温度荷重が適用される断面の幅、長方形でない場合には長方形として換算した断面の幅
H1, H2:参照位置で決定した基準位置から温度荷重が作用する位置までの距離
T1, T2:H1 , H2の位置での温度
“追加”ボタンをクリックすると、入力した内容がリストに追加され、これを修正するには対象を指定して修正した後、“修正”ボタンを、削除するには“削除”ボタンをクリックします。
温度荷重が部材に線形で作用する場合には、部材内に自己拘束応力が発生しないが、温度荷重が非線形で作用する場合には自己拘束応力が発生することがある。これによって発生した内部拘束応力は外部拘束がない場合にも発生して内部に非線形の応力差が生じることになる。したがって、温度荷重解析時、断面内での非線形温度勾配による自己拘束応力を追加考慮できるようにした。
断面タイプ “PC”
規準項目による適用
規準の提供に応じて断面に温度勾配を適用するには、このオプションを選択します。選択した規準に従って、PC、合成PC、および合成断面がサポートされます。SPCから取得した一般断面はサポートされません。
- SNip / SP
鋼合成タイプのみがサポートされています。
- IRC6: 2017
IRC6:2017により、ユーザーはPCおよび鋼合成桁の正および逆の温度差に対する温度勾配を指定できます。
(1) コンクリート断面の温度勾配(正/逆)
(2) 鋼合成断面の温度勾配(正/逆)
- AASHTO LRFD 2020
AASHTOLRFDの3.12.3によって、ユーザーはPCおよび鋼合成桁の正および逆の温度差に対する温度勾配を指定できます。
(1) コンクリート断面の温度勾配(正/負)
(2) 鋼合成断面の温度勾配(正/負)
- Eurocode
EN1991-1-5:2003の6.1.4.2に基づき、ユーザーはPCおよび鋼合成桁の正および逆の温度差に対する温度勾配を指定できます。
(1) コンクリート断面の温度勾配(加熱/冷却)
(2) 鋼合成断面の温度勾配(加熱/冷却)
- AS 5100
AS 5100.2: 2017の18.3により、ユーザーはPCおよび鋼合成桁の正および逆の温度差に対する温度勾配を指定できます。
(1) コンクリート断面の温度勾配(正/負)
(2) 強合成断面の温度勾配(正/負)
断面温度
初期
初期温度を表示します。初期温度は、“解析モデルの基本設定” で入力します。
材料
梁要素の材料を定義します。
要素:選択された梁要素に割り当てられた材料情報を利用
入力:熱応力解析に適用する材料情報を直接入力
弾性係数:弾性係数
線膨張:熱膨張係数
参照:温度荷重が作用する位置の基準位置を選択します。ここで、決定された基準位置から温度荷重が作用する位置(H)を入力します。
B:PC/合成 タイプの断面は、プログラムで自動的に長方形の断面に換算することができないため、直接換算した長方形の断面の幅を入力する必要があります。それ以外のすべてのPC断面と合成断面は自動計算が可能です。
H1, H2:参照位置で決定した基準位置から温度を定義する位置までの距離。ユーザーが直接入力するか、断面で定義したせん断チェック位置(Z1、Z2、Z3)の位置を利用して入力します。
T1, T2:H1 , H2の位置での温度
断面で入力したZ1の位置
‘追加’ ボタンをクリックして入力されたデータをリストに追加します。データを修正するには、関連データを選択して修正し、‘修正’ ボタンをクリックします。‘削除’ ボタンも同様に使用されます。
構造要素に線形に温度荷重が加わる場合、自己拘束応力は発生しません。ただし、構造要素に非線形温度荷重が加わる場合、自己拘束応力が発生することがあります。このような内部拘束応力は、外部拘束がなくても発生し、内部に残留応力を引き起こします。
温度荷重が載荷される部分の最大高さが0.1mになるように分割します。この時、下図で示した部分のように折れ曲がる部分と合成断面のパート境界、フランジとウェブの境界部分では常に領域を分割します。それぞれに分割された部分については一般タイプと同じ方法で計算します。すなわち、分割された長方形の上下端は一般タイプにおけるH1 , H2に該当し、T2 , T1の荷重が線形に変化すると仮定して、各分割点で温度を計算します。最終結果は、各部分の結果を組み合わせて計算されます。