機能
- 下部構造に対して変位塑性率の照査照査をします。
- コンクリート材料を持つ下部構造グループだけを照査対象にします。
経路
メインメニュー:[耐震照査]タブ > [タイプ : 動的耐震照査] > [パラメータ]グループ > [照査設定] > [変位塑性率照査]
入力
変位塑性率照査 ダイアログバー
ボタンをクリックすると、設定内容をテーブルで確認できます。テーブルでは回覧だけができ、内容を削除したり、修正することはできません。
オプション
先に作業ウィンドウから対象を選択し、以下を入力します。
追加/変更 : 新しく設定を追加するか、以前に設定した内容を更新します。
削除 : 入力した設定を削除します。
照査ケース
”耐震照査パラメータの設定”で定義した照査ケースを選択します。
照査対象
橋脚の照査であり、下部構造グループだけが選択できます。
柱部(ラーメン式)
ラーメン式橋脚など複数の柱部を持つ橋脚に使用します。ここで選択した柱部から、上部構造の慣性力の作用位置までの距離 hを自動計算します。橋脚の柱部の長さが異なる場合に有効です。
上部構造の慣性力の作用位置までの距離 hの適用
・最大応答変位:δmax=δrmax-δp-Θp×h-δs
・限界状態時の変位:δls=δy+(φls-φy) Lp (h-Lp/2)
変位の方向
対象橋脚の上部構造の慣性力の作用位置における最大応答変位の方向を指定します。”地震力方向”、”要素座標系”、”使用者設定”が選択できます。
・地震力方向
照査ケースに含まれる動的荷重ケースの載荷方向から変位方向を自動判断します。
動的荷重ケースの載荷方向は「荷重>タイプ:地震荷重>地震荷重制御」より算定します。
・要素座標系
調査ケースの”加振方向”と照査対象の”橋軸方向のせん断力”で設定した要素座標系を基準に応答変位を座標変換して出力します。主に、曲線橋において橋脚ごとに配置角度が異なる場合に使用します。
照査ケースで得られる全体座標系のX方向とY方向の最大応答変位を用いて、該当する要素座標系の方向に座標変換します(下図は要素座標系のz軸方向に変換した例)。
・使用者設定
使用者が全体座標系の”X軸との角度”を入力して変位の方向を指定します。照査ケースの加振方向が橋軸方向になっていれば、ここで指定した変位は橋軸方向の変位になります。
許容変位塑性率
許容変位塑性率μaの算出条件を指定します。
◎道示-H14の場合: μa=1+(δu-δy)/(αδy)
◎道示-H24の場合: μa=1+(δls-δy)/(αδy)、又は μa=δls/(αδy)
安全係数
道示-H14の場合、安全係数αのデフォルト値は照査ケースの設定によって次のようになります。
橋梁の耐震性能 | タイプ1地震動 | タイプ2地震動 |
耐震性能2 | 3.0 | 1.5 |
耐震性能3 | 2.4 | 1.2 |
限界状態変位-塑性ヒンジ長
限界状態時の変位を算定するために必要な塑性ヒンジ長Lpの算出方法を指定します。
◎道示-H14の場合:Lp= 0.2h-0.1D、直接入力
◎道示-H24の場合:Lp= 0.2h-0.1D、Lp=9.5σsy^(1/6)βn^(-1/3)φ、直接入力
変位塑性率の照査式
μr ≤ μa
ここに、
μr:最大変位塑性率
μa:許容変位塑性率
・最大変位塑性率 μr
μr=δmax/δy
δmax:当該橋脚の上部構造の慣性力の作用位置における最大応答変位
δmax=δrmax-δp-Θp×h-δs
δy:当該橋脚の降伏変位
・許容変位塑性率 μa
μa=1+(δls-δy)/(αδy)、又は μa=δls/(αδy)
δls:当該橋脚の限界状態時の変位、δls=δy+(φls-φy) Lp (h-Lp/2)
Lp:塑性ヒンジ長(0.2h-0.1D、Lp=9.5σsy^(1/6)βn^(-1/3)φ')
ここに、D:断面高さ
φls:当該橋脚基部断面における限界状態時の曲率
φy:当該橋脚基部断面における降伏時の曲率
σsy:軸方向鉄筋の降伏点
βn:軸方向鉄筋のはらみ出しに対する抵抗を表す定数
φ':塑性ヒンジ長を算出するための横拘束鉄筋の有効長d'が最も大きいコンクリート部分
に配置される軸方向鉄筋の直径
α:安全係数
降伏変位δyの算定
降伏変位δyは「残留変位照査」で指定した方法で算定します。したがって、残留変位の照査設定を前提とします。
塑性ヒンジ長Lp 算定用の配筋情報
「材料/断面> 非線形特性>M-φパラメータ」において、部材のM-φ非線形特性を計算するために入力した配筋情報を用いてLpを自動計算します。
: 変位塑性率の照査設定を保存します。
: ダイアログバーを閉じます。