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Analysis Control 作成 編集

施工段階解析制御

機能

  • 各施工段階の解析を実行し、解析機能を実行するために必要な解析条件を示します。
  • 吊橋、斜張橋またはPC橋のような土木構造物は、施工中と施工後で構造系が変わり、施工中では架設橋脚および臨時ケーブルの設置と除去、床版と主塔の支持条件の変化などによって構造系が変化し続けます。 また、段階的な施工により、隣接部材間の材齢が異なるため、部材の弾性係数や強度などの材料特性も異なります。そして、コンクリートのクリープ、乾燥収縮、強度増加およびPC鋼材の弛緩など材料の時間依存的特性による影響で、施工中や施工が完了した後も垂れが変わり応力が再分配されるために構造物の挙動がとても複雑です。このように施工の進行に伴って構造系が変化する場合は、施工が完了した後ではなく、施工中に最大応力が発生することもあるため、構造物の施工段階によける応力の変化を予測するために材料の時間依存性を正確に考慮した施工段階解析が必要です。
    Civil NXを使用して施工段階解析を行う際に考慮する事項は次の通りです。

 

Civil NXの施工段階解析では以下の項目を考慮します。

  • 時間依存性材料

1. 異なる材齢を持つコンクリート部材のクリープ

2. 異なる材齢を持つコンクリート部材の乾燥収縮

3. 時間の経過に伴うコンクリート部材の強度発現

4. PC鋼材の弛緩(Relaxation)

 

  • 施工段階の表現

1. 任意の材齢を持つ部材の生成と消滅

2. 任意の載荷時点を持つ荷重の載荷と除荷

3. 時間による境界条件の変化

 

Civil NXで時間依存性を考慮した施工段階解析を行うためには以下の手順に従います。

1. 構造物をモデリングします。

2. クリープや乾燥収縮などの時間依存性を持つ材料特性を定義します。時間依存性の材料は、日本のコンクリート標準示方書や海外のACIやCEB-FIPといった規準に基づいて定義することができます(時間依存性の材料(クリープ/乾燥収縮、圧縮強度)。

3. 定義した時間依存性材料を一般の弾性材料と連携

4. 実際の施工順序を考慮して、施工段階と時間ステップを作成します。

5. 事前に定義した構造グループ、境界グループ、および荷重グループを使用して施工段階を定義します(施工段階の定義)。

6. 目的の解析条件を設定して解析を実行します(施工段階解析制御、解析実行)。

7. 必要に応じて、施工段階解析と完成構造解析の結果を組み合わせます。

 

手順

メニュー

1. 材料の定義

[材料/断面]タブ > [材料特性]グループ > [材料特性]

2. 断面の定義

[材料/断面]タブ > [断面]グループ > [断面]

3. グループの定義
- 構造グループ
- 境界グループ
- 荷重グループ

[プロジェクト]タブ > [グループ]グループ > [グループ]
① 構造グループの定義···
② 境界グループの定義···
③ 荷重グループの定義···

4. 要素を作成し、構造グループを割り当てる

[節点/要素]タブ > [一般]グループ > [生成]> [要素生成] 

5. 境界条件を作成し、境界グループに割り当てる

[境界条件]タブ

6. 荷重を作成し、荷重グループに割り当てる

[荷重]タブ

7. 時間依存性材料(コンクリート)の定義 - クリープ、乾燥収縮、圧縮強度

[材料/断面]タブ > [材料特性]グループ > [時間依存性材料] >

① クリープ/乾燥収縮···
② 圧縮強度···

8. 時間依存性材料をを一般材料特性(コンクリート)に割り当てる

[材料/断面]タブ > [材料特性]グループ > [時間依存性材料で連結] 

9. 梁要素の幾何形状の寸法を利用してクリープ係数計算のための部材形状指数を算定

[材料/特性]タブ > [材料特性]グループ > [部材形状指数の変更]

10. 施工段階

- 施工段階の期間を設定

- 関連する要素(構造)グループをアクティブ・非アクティブ

- 関連する境界グループをアクティブ・非アクティブ

- 関連する荷重グループをアクティブ・非アクティブ

[荷重]タブ > [タイプ: 施工段階] > [施工段階解析データ]グループ >[施工ステージの設定]

11. 施工段階解析オプション

- 時間依存効果を考慮

- 死荷重から分離する荷重ケース

[解析]タブ >[解析制御] > [施工段階]

12. 解析実行

[解析]タブ > [解析実行]グループ > [解析実行]

13. 施工段階別の解析結果を確認

[結果]タブ

 

経路

メインメニュー:[解析]タブ > [解析制御]グループ > [施工段階]

 

入力

図 施工段階解析制御ダイアログ ボックス

 


最終ステージ

施工段階解析を行う際、構造物の最終施工段階として考慮する施工段階を選択します。通常、最後の施工段階まで解析を行いますが、使用者が指定した途中の施工段階まで解析を行うこともできます。

最終ステージ

最後に定義された施工段階を最終施工段階に指定します。

他のステージ

定義されている施工段階のうち、最終施工段階として使用する施工段階を選択します。

 


施工段階解析の再起動

使用者が選択した特定の段階から施工段階解析を再開します。変更した施工ステージから解析を再開すると、解析時間を節約できます。

再起動ステージ選択... : 再開する施工段階を選択します。

  • 施工段階解析の再起動をが使用するには、各施工段階で解析された結果データを保存しておく必要があります。リスタートに必要な段階のみを選択し、プログラムが停止した場合に備えて中間ファイルを保存しておくと、時間とストレージの面で効果的です。
  • 施工段階の再起動機能は、既存の解析結果を再利用する機能です。リスタート以前の段階の解析結果に影響を与える変化があると、一貫性を失ったり、解析が円滑でないことがあります。リスタート機能は、以前に実行した解析から得られた結果を使用して実行されます。

リスタートを適用する前の段階の構造システムに何らかの変更が加えられた場合

リスタートを適用する前に、境界条件とステージの荷重に何らかの変更が加えられた場合

施工段階全体で使用される材料や断面特性に何らかの変更が加えられた場合

  • リスタート機能を使用した解析結果の一貫性は入力データに依存します。したがって、最終結果に関しては、リスタート機能を使用するよりも、最初から最後まで解析を行うことをお勧めします。

 


非線形解析の制御

幾何形状の変化を反映する幾何学的非線形解析を含む施工段階解析を行います。

非線形解析の制御 : 解析タイプで大変形解析を選択すれば、非線形解析の制御ボタンが有効になり、選択すると以下のようなダイアログが呼び出されます。

 

図 非線形解析制御

 

最大繰り返し回数/荷重ステップ数

荷重ステップごとの最大繰り返し回数を入力します。

収束判定条件

収束するかどうかを判断する基準を選択します。エネルギー(部材力x変位)、変位、部材力のノルム基準値を入力します。

NOTE.png 解析の繰り返しまたは終了の可否を決定するための収束条件の判断には、様々な自由度の影響を全て反映できるようにノルムを使用する。例えば、変位の場合、当該解析段階で発生した変位を{D1}、各段階の変位を累積した全体変位を{D2}だとすると、ノルムはで表現され、この値が基準値より小さい場合は収束したと判断し、繰り返し解析を終了する。 

 


 

独立ステージ

各施工段階で独立モデルを構成して解析を行います。独立ステージ解析では、幾何非線形と時間依存効果を同時に考慮する解析を行えず、非線形解析制御オプションを除いた他のオプションは設定できません。大変形を考慮した吊橋の逆方向の施工段階解析に使用するオプションです。

累積ステージ

施工段階の結果を累積しながら非線形解析を行います。累積モデルの大変形解析では、時間依存性効果の考慮はもちろん、ケーブルのプレテンションタイプを選択することができ、接線変位(適合不足力を含む)の計算も可能です。斜張橋などの大変形を考慮した順方向の施工段階解析で主に使用します。

平衡要素の節点力を含む

平衡力を考慮して非線形解析を行います。完成系で発生した部材力を初期平衡力として考慮し、吊橋の幾何非線形の逆方向施工段階解析の際に使用します。

NOTE.png 幾何非線形の累積ステージ解析時の注意事項

1. 幾何非線形解析はトータル変位(Real Displacement)に基づいて解析が行われるので、”施工部材の初期接線変位の計算”オプションを必ずチェックしなければなりません。使用者がチェックせずにOKボタンを押しても、自動的にこのオプションが適用されます。

2. 斜張橋における幾何非線形解析では、ケーブル要素以外の要素は設置できず、ケーブルプレテンション以外の荷重は有効にできず、ケーブル要素が設置される施工段階では境界条件も有効にできません。

3. 施工段階で支持点(連結要素、バネなど)がアクティブになる場合、支持点は繋がっている要素よりも先にアクティブにする必要があります。要素が支持点より先にアクティブになった場合は、次の段階で [元の位置] オプションを選択して支持点をアクティブにする必要があります。要素と支持点が同時にアクティブになると、要素で発生する変位が境界条件に転送され、間違った結果が得られる可能性があります。

 

NOTE.png 幾何学的非線形解析では、要素のI、J 端でのみ結果が出力されます。

 

P-デルタ効果のみを含む

軸力による幾何剛性を考慮します。非線形解析と同時に行うことはできません。

"P-デルタ効果のみを含む"を選択し、P-デルタ解析制御 ボタンをクリックして、ダイアログボックスに次のデータを入力します。

 

図 P-デルタ解析制御

 

繰り返し回数 : 解析の最大反復回数

収束判定値 : 収束に対する判定値

 

時間依存性材料特性を含む

"時間依存性材料特性を含む"を選択した場合、時間依存性効果制御 ボタンをクリックして時間依存特性を入力するダイアログボックスを開きます。

クリープや乾燥収縮に関する材料特性を定義します。

 

図 時間依存性効果の制御

 

クリープ & 乾燥収縮

クリープと乾燥収縮を考慮する場合、チェックして次の事項を入力します。

タイプ

クリープと乾燥収縮の中から、考慮する項目を選択します。

クリープ

クリープ計算の収束

クリープを考慮した解析を行う場合、繰り返し計算を終了するかどうかの判断に適用する収束条件を入力します。

繰り返し回数 : 最大繰り返し回数

許容誤差: 収束判定基準値の誤差

クリープ係数のみ使用

使用者が入力したクリープ係数のみを適用して、施工段階解析を行います。クリープ係数は、「荷重> タイプ:施工段階≥ 施工段階のクリープ係数」で要素別に入力します。

クリープの内部時間ステップ

クリープを考慮すると解析の精度を高めるための追加的な内部ステップを作るために、施工段階を分割する回数を入力します。

NOTE.png 内部ステップは解析過程でのみ適用され、当ステップの解析結果は出力されません。

時間間隔が長い場合の自動時間ステップ生成

施工段階の持続期間が長い場合、施工ステージを分割して内部ステップを作成するために使用する分割数を指定します。

NOTE.png 内部ステップは解析過程でのみ適用され、当ステップの解析結果は出力されません。

PC鋼材の引張損失効果(クリープ & 乾燥収縮)

クリープと乾燥収縮によるPC鋼材の緊張力損失効果を考慮する場合にチェックします。PC鋼材の緊張力損失特性は「荷重> タイプ:プレストレス> PC鋼材の材料と断面」で定義します。

鉄筋拘束効果を考慮

鉄筋によるクリープと乾燥収縮の拘束効果を考慮する場合にチェックします。 鉄筋情報は「材料/断面> 断面マネージャー」で定義します。

圧縮強度変化

材齢による圧縮強度の変化を通じて材料の弾性係数の変化を反映する場合にチェックします。構造材料の弾性係数の変化は、「材料/断面> 時間依存性材料> 圧縮強度」で定義します。

 Post C.S.時の弾性係数の時間依存性を考慮

 チェックオンの場合、最終施工段階の弾性係数が施工後の段階(Post C.S.)に適用されます。

 チェックオフの場合、材料DBで提議した弾性係数が施工後の段階(Post C.S.)に適用されます。

PC鋼材の引張損失効果(弾性収縮)

弾性変化によるPC鋼材の緊張力損失効果を反映する場合にチェックします。

 


施工段階荷重で分離する死荷重ケース

一般的に施工段階解析に適用される荷重の中で構造物の自重が支配的であるため、クリープ & 乾燥収縮、PC荷重を除く全ての荷重はCS:死荷重に出力されます。ここで、”CS:死荷重”と区別したい荷重があり当荷重を指定すれば、”CS:架設荷重”で出力されます。

荷重ケース : 架設荷重で出力したい荷重を選択します。

施工ステージ用荷重タイプ

”CS:死荷重”と区別し、”CS:架設荷重”で指定した荷重タイプを指定します。この機能は、荷重組合せの自動生成機能を利用する際に適用されます。自動生成機能を使用しない場合はどのタイプを選択しても構いません。

追加 : ”C.S. 死荷重”と区別する架設荷重ケースを追加

削除 : 選択した荷重条件をリストから削除

 

NOTE.png 施工段階解析を行うと、結果は次のような荷重ケースが自動的に生成されます。

荷重ケース 結果成分 内容
1. CS︓死荷重 - PC鋼材のプレストレス、クリープ、乾燥収縮を除いた施⼯段階に含まれる全ての荷重による結果
2. CS︓架設荷重 - “CS: 死荷重” に含まれている荷重の中から、その結果を別途出⼒するために分離した荷重による結果、施⼯段階解析の制御データで指定
3. CS︓PC鋼材1次 反⼒ -
  変形 PC鋼材へ⼊⼒したプレストレス荷重による変位
  断面力 PC鋼材へ⼊⼒したプレストレス荷重によって部材に導⼊される部材⼒
4. CS︓PC鋼材2次 反力 PC鋼材のプレストレス荷重によって不静定構造に発⽣する反⼒
  断面力 PC鋼材のプレストレス荷重によって不静定構造物に発⽣する部材⼒
5. CS︓クリープ1次 反⼒ -
  変形 クリープひずみを誘発するのに必要な等価荷重による変位
  断面力 クリープひずみを誘発するのに必要な等価荷重による部材⼒
6. CS︓クリープ2次 反力 クリープによって不静定構造物に発⽣する反⼒
  断面力 クリープによって不静定構造物に発⽣する部材⼒
7. CS︓乾燥収縮1次 反⼒ -
  変形 乾燥収縮ひずみを誘発するのに必要な等価荷重による変位
  断面力 乾燥収縮ひずみを誘発するのに必要な等価荷重による部材⼒
8. CS︓乾燥収縮2次 反力 乾燥収縮によって不静定構造物に発⽣する反⼒
  断面力 乾燥収縮によって不静定構造物に発⽣する部材⼒
9. 合計(CS) 反⼒ 1+2+4+6+8
  変形 1+2+3+5+7
  断面力 1+2+3+4+6+8

 

NOTE.png PC鋼材1次(CS)と2次(CS)
PC鋼材1次は緊張力によって発生した部材力であり、2次は緊張力と構造物の不静定条件によって発生する部材力を意味します。解析結果を確認する際にはそれぞれ内力と外力とみなして結果を確認できるが、設計時には1次から出た部材力は中立軸の移動を考慮して再び内部的に計算して内力として使用し、2次から出た結果はそのまま外力として使用する。

 


ケーブルプレテンション荷重制御

ケーブル要素の初期張力を適用する方法を指定します。

内部応力 : プレテンション荷重を内部力として適用します(内部応力は、入力した施工段階で構造物内で再分配されて変化します)。

外部荷重 : プレテンション荷重を外力として適用します(外部荷重は、入力した施工段階で変化しません)。

NOTE.png プレテンション荷重は、構造物に設置されたトラス要素に変形を与える概念の荷重です。変形を導入する方法は、トラス要素の本来の長さより小さい長さを持つトラスを設置することです。長さの短い要素を構造物に入れるため、構造物には引張力が発生し、変形量は荷重とトラス要素の剛性によって決定されます(L = (P*L)/(E*A))。 

内部応力タイプのプレテンション荷重は、プレテンション荷重に相当する変形量を部材に作用させ、全体構造物の挙動を解析するものです。部材の両端部の剛性によって発生する部材力が決定されます。トラス部材に変形を導入して両端部の節点変位が多く発生すれば部材力が小さくなり、少なく発生すれば部材力が大きくなります。両端部が固定条件の場合には、入力されたプレテンション値だけの部材力が発生します。同じ荷重条件でプレテンション荷重以外の荷重が同時に作用する場合は、重ね合わせの概念が適用されます。

外部荷重タイプのプレテンション荷重は、プレテンション荷重に相当する部材力が部材に発生するようにする場合に使用します。プレテンション荷重が導入された部材の部材力がプレテンション荷重値と同じになる状態を作ることです。施工過程でケーブルに張力を導入する場合、一定の変形量になるように調整するのではなく、張力を希望する値になるように調整するときに使用します。外部荷重タイプはケーブルに望む大きさの張力を発生させます。同じ荷重条件でプレテンション荷重以外の荷重が同時に作用する場合は、常に入力されたプレテンション値が張力として発生します。

外部荷重タイプの場合は、現在の施工段階でのみ使用が可能です。オプションとして追加と変更機能がありますが、これはプレテンションが2回以上入力された場合の処理方法に関するものです。”追加”は追加で入力されたプレテンションに対して、最初と同じ方法を適用して解析する方法です。”変更”は、前の段階まで発生した張力を考慮して、最終張力が入力されたプレテンション値と同じになるようにする方法です。以前の段階まで発生した部材力に追加でいくらかの張力を加えれば、使用者が入力したプレテンション値と同じになるかを自動的に計算します。

プレテンションは荷重であるため、構造物の剛性とは無関係です。ケーブル要素のように張力によって剛性が変化する要素の場合にも、プレテンション荷重は一般荷重と同じ方式で扱われます。

追加 : ケーブル要素の既存の張力に外部の予張力を追加します。

変更 : ケーブル要素の既存の張力を、適用された外部プリテンション力に置き換えます。

 

NOTE.png 初期張力を内力として適用すれば、ケーブル要素の部材力は支持構造物の剛性による変形に力の再分配が発生するので、初期張力と異なる軸力を結果として算出します。外力で適用する場合は、初期張力が導入される施工段階に初期張力を支持構造物に荷重として適用するので、当該施工段階でケーブル要素の部材力は初期張力と同じになります。外部荷重で適用する場合には、二つの方法(追加、変更)があります。追加方法で外力を適用すれば、既存の部材力(張力)に適用した外力が足されてケーブル張力が決定されます。変更方法は既存の部材力と関係なく外力で適用した値でケーブル張力が代替されます。

 


初期荷重制御

最終ステージの断面力をPostCSの初期断面力に変換

施工段階解析後、最後のステップの部材力を施工後の段階(PostCSまたは完成系)の幾何剛性に反映するため、部材力の結果を初期断面力に変換します。変換された最後段階の部材力は、[荷重]タブ>[タイプ:その他]>[初期断面力]グループ>微小変形 > 初期断面力(CS)に出力され、出力された結果はPost CS段階の解析に反映されます。

吊橋、斜張橋の順方向の施工段階解析を行った後、最後段階で発生したケーブル張力による幾何剛性を考慮して完成系解析を行うことができます。

初期断面力テーブルと初期断面力(CS)テーブルに同時に値が入力された場合は、初期断面力テーブルの値が優先的に適用されます。 但し、”施工ステージに初期断面力を適用” オプションをチェックした場合には、Post CS段階で常に最後施工段階の部材力(初期断面力(CS))を適用します。

トラス : トラス要素、ケーブル要素(大変形解析を選択した場合)に適用

: 梁要素に適用

 

ケーブル要素を最終施工ステージ用の等価なトラス要素に変換

斜張橋、吊橋等のケーブル橋梁の解析において、施工後の段階(PostCS又は完成系)で考慮する荷重の種類は、線形静的荷重(ST)、移動荷重(MV)、支点沈下荷重(SM)、応答スペクトル荷重(RS)等と様々であります。移動荷重 (MV) などの一部の荷重タイプは、線形重ね合わせの原理に従います。

ケーブル要素では剛性が変化する荷重タイプを解析できないため、ケーブル要素は自動的にトラス要素に置き換えられます。ただし、線形重ね合わせを含む線形静的荷重 (ST) の場合、ケーブル要素の特性が考慮されます。非線形解析では弾性剛性が考慮され、線形解析では等価トラス解析が使用されます。

設計時に剛性の異なる荷重を組み合わせることは正しいアプローチではありません。そのため、線形静的荷重(ST)であっても、PostCS段階ではケーブル要素ではなくトラス要素を使用して解析し、移動荷重や支点沈下などの荷重との組み合わせを可能にします。ただし、PostCSで使用するトラスの等価剛性の計算には、施工段階の最終ステップのケーブル要素の張力を利用します。これにより、ケーブル要素の非線形性を可能な限り考慮した線形解析が可能になります。

チェックオン : 最後の施工段階の張力を利用してケーブル要素の等価剛性を計算します。このように計算した剛性が反映された要素を使用して、施工後のフェーズ(PostCS)の全ての荷重を解析します。ケーブル要素の張力の変化による剛性の変化は、線形荷重の組み合わせでは再計算されません。この機能をチェックすると、Post CS のさまざまな荷重ケースに同じ剛性を適用できます。

チェックオフ : 荷重の種類によってケーブル要素の剛性算定方法が異なります。線形静的荷重(ST)が載荷される際には、解析の種類によって要素特性が決まり(非線形解析時は弾性懸垂線、線形解析時は等価トラス)、移動荷重(MV)、支点沈下(SM)、応答スペクトル荷重(RS)などの荷重については、幾何剛性を無視した線形トラス要素として解析します。

施工ステージに初期断面力適用

初期断面力テーブルに入力した初期断面力を施工段階の部材力に反映します。その要素が最初に有効になる施工段階に入力されます。施工中の任意の段階から施工段階解析を行う場合、その時点までに発生した部材力を初期断面力に反映することができます。

”施工ステージに初期断面力適用”オプションと”最終ステージの断面力をPostCSの初期断面力に変換”オプションの両方を選択した場合、施工段階では初期断面力テーブルに入力した初期断面力が適用され、完成系(PostCS)では最終施工段階の部材力が初期断面力として適用され、これらの値が初期断面力(CS)テーブルに出力されます。

 


施工部材の初期接線変位の計算

施工段階ごとに発生した節点の回転角を考慮し、次の段階で生成される要素のトータル変位(real displacement)を計算する機能です。鋼l部材またはプレキャストコンクリート部材の施工段階解析時に製作キャンバーを算出する時に有用です。非線形解析では無効になります。

全て : 全ての部材に対してトータル変位(real displacement)を計算します。

グループ : 指定した特定グループのトータル変位(real displacement)を計算します。

NOTE.png 以下の位置で実際の変位結果を確認することができます。[結果]タブ > [タイプ: 一般] > [結果表示]グループ > 変形 > 変形図 > ステージ/ステップの総変位 : 上げ越し関連のグラフ出力は、結果 > タイプ:橋梁仕様 > 上げ越しで確認できます。

適合不足力の制御

斜張橋の順方向の施工段階解析でケーブルがアクティブする時、ケーブルの両端節点は直前の施工段階で発生した撓みを持っています。したがって、ケーブルを設置するためにはケーブルをその節点まで引っ張る必要がありますが、この時に必要な張力を適合不足力と言います。この値は、直前の施工段階の両節点をケーブル要素のx軸に投影させて発生する長さの差を利用して計算します。

斜張橋の順方向の施工段階解析で、初期状態解析で求めたプレテンションにこの適合不足力を加えて施工中のプレテンションとして作用させると、逆方向解析無しに順方向解析だけで最終段階で初期値解析で同様の結果が得られます。

最も一般的な3径間の連続斜張橋でキーセグメントの閉合段階を含む場合、キーセグ閉合の前の段階では両側構造物の閉合断面に撓みが発生し、このままキーセグを閉合すると構造物の変位及び垂下角が不連続になり、閉合後の状態が初期状態解析時と異なる結果になります。しかし、閉合段階でキーセグと両側構造物の閉合断面が互いに連続で連結されるようにするためにキーセグ両端の強制変位を計算し、この変位を部材力に換算してキーセグに載荷して閉合すると、接合後の状態が初期状態解析と同じ結果になります。ここでキーセグに載荷する部材力も同様に適合不足力といい、一般的な斜張橋解析でケーブル部材とキーセグ要素の両方に適合不足力を適用すれば、逆方向解析による施工中のケーブル張力を求める過程を省略し、順方向解析だけで斜張橋の設計が可能です。

適合不足力を計算するためには、まず適合不足力を計算するトラス要素と梁要素を一つの構造グループに指定し、”適合不足力の制御”にチェックをして、右側のコンボボックスで先に定義した構造グループを選択します。

ただし、ケーブル要素を利用した累積の非線形施工段階解析で、プレテンションを荷重として入力せずに要素に直接入力した場合、またはプレテンションの代わりに無応力場を入力した場合には、変形前のケーブル両端の節点位置と施工中に変位が発生した節点位置の差を考慮したケーブルの張力を自動的に計算するため、適合不足力オプションを使用しなくて良いです。

適合不足力の計算で使用された節点の変位、部材力などの結果は、結果 > タイプ:一般 > 結果テーブル > 適合不足力 > 梁要素またはトラス要素で確認することができます。

 


無効長の計算(ポストテンション用)

ポストテンションモデルで、無応力場区間の応力算定方法を選択します。この機能は、「荷重 > タイプ:プレストレス > プレストレス > PC鋼材の配置形状」で伝達長を入力した場合に適用されます。

線形補間 : 定着口から無応力場までの応力を線形補間します。

一定:応力× : 無応力場区間で無応力場を考慮しない応力に一定の比率を適用して、無応力場区間の応力を計算します。例えば、発生した応力の50%を無応力場区間の応力として使用しようとすると、0.5を入力します。

ただし、「荷重 > タイプ:施工段階 > 施工段階解析データ > 施工段階の合成断面」を使用する際には、PC鋼材の無応力場を考慮できません。

 


断面特性計算時のPC鋼材の扱い

断面特性値の計算にPC鋼材の影響を考慮するかどうかを指定します。

考慮しない : 断面特性の計算時にPC鋼材を考慮せずに計算します。

換算断面を使用 :PC鋼材を考慮して断面特性値を計算します。ポストテンションの場合、グラウチング前はダクト面積を除いた純断面で断面特性値を計算し、グラウチング後はPC鋼材を含む換算断面で断面特性値を計算します。

 


フレームの結果出力

施工段階中に発生した同時性断面力の計算 : 施工段階において要素の特定の力成分の最大値や最小値(強軸モーメント)が見つかると、対応する他の力成分(せん断力および軸力)を計算します。

合成断面の各部分に対して計算 : オンにすれば、コンクリートデッキ部分と桁部分のそれぞれに対応する応力と力を計算します。オフにすると、合成断面全体で結果を出力します。

 


ステージ単独結果を保存(梁/トラス)

現在のステップの結果が保存され、表示されます。

 


施工段階解析の制御データの削除

施工段階解析条件を削除します。この場合、施工段階解析は実行されません。

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