メインコンテンツへスキップ
Time History Analysis Data 作成 編集

時刻歴応答解析の全体制御

機能

構造物に地震動が作用する際、変形が小さい範囲で構造物は弾性挙動します。
しかし、外力の増加によって変形が大きくなると、部材応力は弾性限界を超え、ひび割れ、降伏などの現象が発生します。この際、復元力と変形の関係は履歴曲線として表され、このような復元力の特性を弾塑性復元力特性と称します。構造物に大地震発生した際、骨組は必ず降伏して塑性域に入るため、大地震に対して構造物の安全性を確保するため、構造物の塑性変形能力と履歴エネルギー吸収能力は重要な要因です。

非線形時刻歴解析(Nonlinear Time History Analysis)は構造部材の非線形復元力を単純化させた履歴モデルから、構造物の非線形挙動を把握する時刻歴解析方法です。対象構造物は解析の効率性を考慮して主要部分のみに非線形要素を使用し、その他の部分には弾性と仮定して解析を行います。

 

経路

メインメニュー:[荷重] タブ > [荷重タイプ:地震荷重] > [時刻歴応答解析データ] グループ > [全体制御] > [全体制御]

 

入力

時刻歴応答解析の全体制御 ダイアログボックス

 


幾何非線形タイプ

大きい変形による幾何非線形を考慮して非線形時刻歴解析を行うかを選択します。
長径間構造物などで、大変形を考慮して解析を行う場合には、大変位を選択します。

 


初期荷重

非線形時刻歴解析で構造物に載荷する初期荷重を指定します。
構造物の重力方向に荷重が作用する状態で解析行って、構造物が持つ正確な保有内力曲線の評価ができます。

初期荷重による非線形解析実行

初期荷重の考慮時の一般的な適用方法であり、初期荷重に対して非線形解析を行います。

静的解析/施工段階解析結果の読み込み

1.初期荷重と非線形時刻歴解析の境界条件が異なる場合の適用方法です。
2.施工段階解析の最終段階を初期荷重として考慮する場合の適用方法です。

NOTE.png

非線形時刻歴解析の初期荷重として施工段階解析の最終段階の部材力を適用して解析を行う場合、選択した初期荷重に対して非線形時刻歴解析では実際の非線形解析を行わず、施工段階解析で行った解析結果を読み込んで処理する方法を適用します。

以下は、解析条件で設定する初期荷重は非線形時刻歴解析で実際の非線形解析を行わず、静的解析で行った解析結果を読み込んで処理す方法を適用します。
-非線形時刻歴解析での初期荷重と非線形時刻歴か軌跡の荷重条件の境界条件/断面増減係数が異なる場合
-非線形時刻歴解析の初期荷重として施工段階解析の最終段階の部材を力を適用して解析を行った場合

 

荷重ケース

初期荷重として適用する静的荷重条件を選択します。

増減係数
選択した静的荷重条件に対する増減係数を入力します。 をクリックして選択した荷重条件がリスト追加されます。指定した荷重条件を修正する場合には、 ボタンを、削除する場合には 、 ボタンをクリックします。

NOTE.png

温度荷重は非線形時刻歴解析の初期荷重として入力できません。
初期荷重による応力は非線形時刻歴解析による応力と累積され、初期荷重による変位は考慮しません。
軸力変動を考慮する場合(PMM Type)には初期荷重を定義する必要があります。

 

増分ステップ

初期荷重に対して分割して解析しようとする場合に分割するステップを設定します。(デフォルトは一度に載荷’1’)

結果出力:解析結果の出力内容の範囲の設定します。

最終ステップのみ出力:最終ステップに対する結果を出力するため、短時間で確認が可能です。
結果出力のステップ数:設定した増分ステップに対して解析結果を出力します。

 

収束計算パラメータ

初期荷重に対して非線形解析を行う際、繰り返し収束解析条件を設定

収束階数の上限に達した場合、次のステップに進む

各ステップで収束していない場合、ステップ幅を自動に分割して解析を行う機能です。つまり、最大収束回数内に収束しない場合には、入力した最大サブステップほどにステップを自動分割して解析を行います。

・チェックOn:収束しない場合、次のステップに進みます。(ただし、不平行力は次のステップの荷重として考慮される)
・チェックOff:収束しない場合、メッセージを出力した後、解析を終了します。

最大サブステップ数:サブステップの最大数を入力します。

NOTE.png

ここで入力したステップ数はすべての増分荷重条件に反映されます。

最大繰り返し回数

各増分ステップ毎に荷重と変位に対する平行条件(Equilibrium Condition)を満たすために行われる最大繰り返し数を入力します。

NOTE.png

不平行力と収束計算

非線形時刻歴解析の各増分では非線形要素の剛性変化と部材力変化によって不平行力(Residual Force)が発生します。
各増分で発生する不平行力を解除するために繰り返し解析を行って、Newton-Raphson Methodを使用します。

1.収束計算を行う場合:Newton-Raphson法によって収束条件を満たすまで繰り返し解析を行います。この過程で不平行力は無視できるほど小さくなります。収束条件を満たさず、最大繰り返し回数に達すると残っている不平行力は次の増分の外力として適用されます。
2.収束計算を行わない場合(最大繰り返し数を1として入力した場合):不平行力を次の増分の外力として処理します。

 

収束判定条件

収束しているかどうかを判断する許容誤差を入力します。繰り返し解析過程で計算された誤差が許容値内であれば、該当増分ステップにおいては最大繰り返し数内でも解析を終了させて次のステップに進みます。

NOTE.png

収束条件

繰り返し解析から不平行力を解除しても、不兵効力を完全に0にまで収束させるのは数値解析的に不可能です。
従って、不平効力がある限界の以下となると、収束したと判断し次の増分に進むために収束判断条件を設定します。

繰り返し解析で収束を判定する基準Normは変位と荷重及びエネルギーの三つがあり、この中から一つまたは複数のNormを選択して収束判定に反映できます。各Normの定義は以下のようになります。

 

収束判断条件の設定

収束判断条件は変位Normのみを選択して解析するのが一般的です。ただし、変位Norm条件のみを選択して収束した場合にも不平行力が無視できないほどに残っているため、解析が発散する場合もあります。このような場合には荷重、エネルギーの順で追加選択して解析を行えます。

 

収束条件の設定時の注意事項

1.複数のNormを収束判断条件として設定すると、一つの条件を選択した場合に比べて収束繰り返し数が増加します。
2.エネルギーNormを選択すると、収束条件の満足が難しい場合が発生することもあります。
3.最大繰り返し数ほど繰り返し解析を行った場合にも収束判断条件を満たさない場合には、残っている不平行力が
次の増分の外力に追加されるため、直前の増分で収束していなくても現在の増分で収束しているのであれば、全体の解析結果には影響を与えません。

 

非線形解析の初期荷重に対して要素を無視する

「非線形解析」に入力された内容の反映有無を聞く
「初期荷重による非線形解析実行」を選択した場合、初期荷重空き積に剛性無視オプションを活性化
「静的解析/施工段階解析結果の読み込み」を選択した場合、初期荷重解析に剛性無視オプションを非活性化

NOTE.png

このオプションをチェックすると「選択された荷重ケースに対して無視した要素を読み込む」で指定した内容を非線形解析の初期荷重に対しても適用します。つまり、初期荷重において要素の剛性は無視されて解析を行います。
(横力が作用するトラス/ブレースが鉛直荷重において抵抗せず、非線形時刻歴解析(横荷重)のみにおいて抵抗するように設定したい場合に使用します。

 

非線形解析結果の出力オプション

エネルギー結果(非線形直接積分法のみ出力される)

構造物に対する非線形時刻歴解析結果のエネルギーグラフ出力を設定します。

免震制振装置結果の出力指定:免制震装置に対する解析結果出力の可否を設定

粘性/オイルダンパー結果:オイルダンパーエネルギー(Maxwell Model)
粘弾性ダンパー結果
鋼材ダンパー結果
免震要履歴型ダンパー(MSS)結果
免震支承材(MSS)結果

NOTE.png

免制振装置のエネルギー項目は解析モデルに免制震装置が入力されている場合に解析結果を出力可能です。
免制振装置の入力は、「モデル>境界条件>バネ/リンク>免震制振装置特性」で入力可能です。

 

 

0
コンテンツが役に立ちましたか?